第三部 戦いの座学って?
「では、座学を始めます。テキストの3ページを開いてください」
3ページを開くと、目がチカチカする様な文章と図がかいてあった。
「ノートをとりたい人は、ご自由にどうぞ」
すると、すっとソウマがノートを出した。何でそんな用意をしていたのか、エントにとっては不思議で仕方なかった。大体、座学がある事など知らされていなかった。
「もしかして、と思ったから、一応6セット持って来てたんだ。使う?」
ソウマから渡されたのは、小さな筆箱とノート、下敷きだった。これではまるで学校みたいだ。そして、ギーヨ様の技についての授業が始まった。
「まず、技の根源について説明したいと思います。技は、妖力を使って物体を発生させ、それを操ることです。ここまでは皆さん知っていると思います。しかし、自分の属性以外の物体を発生させられるのは知っていますか?」
「えっ、そうなんですか?」
「本当です。ライトさん、いくら雷が効かない相手でも、誰かに丸投げする必要はないのですよ」
兄者は、罰が悪そうに肩をすくめた。
「まあ、自分の属性の2倍妖力が必要になりますが。それが関係ないのが、技神というわけです。エントさん、寝ないように」
既にまどろんでいたエントはドキッとした。
「好きな形に出来るのを利用して、私たちは技として相手を攻撃しているわけですね。技名は誰かのを真似したり自分で作ったりしますが、自然と口にしてしまうのは本能なので、気にせず自由につくってみて下さい」
「あの、他の属性の技を出す時って、こつはあるんですか?」
「いい質問ですね、ソウマさん。実際にやってみた方が早いと思います。真似しやすい光狐の技をしてみましょうか。光をイメージして、手から出す感じでやってみて下さい」
ギーヨ様は、手の中を光らせた。やってみると、意外と簡単に出来たが、フウワは苦戦しているようだった。
「風と光は属性が遠いので、難しいと思います。フウワさんはスインさんの真似をしてみて下さい」
フウワは、そちらに変えると一瞬でできた。
「それをそのまま、僕に投げてみて下さい」
投げてみて、驚いた。自分の投げたものが、鋭く尖ってギーヨ様に進んで行った。技はすべてギーヨ様の前でぴたりと止まって消えたが、まだ感動していた。
「炎と雷は光と最も近い属性ですから、うまく出来ると思います。意外と上手くいくものでしょう?」
座学も、意外と面白いかもしれない。エントは椅子に座り直し、姿勢を正した。




