第二部 厳しすぎる特訓
「鍛えるって?」
「僕があなたたちを強くさせるということですよ」
「え?いいんですか?」
「ええ。是非ともあなたたちに活躍してほしいですから」
猫の王の特訓だ。着いて行けるか少し不安になった。
「まず、全員で私に攻撃してみて下さい」
「いいんですか?」
「はい。それであなたたちの課題を見つけますので」
みんなは技の準備をし始めた。
「そのかわり、本気で来て下さい」
大丈夫なのか心配にもなったが、彼は最強といわれるギーヨ様だ。手加減は必要ないだろう。そして、みんなで攻撃したが、見事に全てかわされていた。
「ライトさん、エントさん。あなたたちは攻撃が真っ直ぐすぎて、見切るのが簡単になってしまっています。スインさん。もう少し技の威力を上げた方がいい気がします。これでは、せっかく当たっても倒し切れません。ソウマさん、アインさん。技の出し方を工夫した方がいいかもしれません。見切りやすくなっています。最後に、フウワさん。次の技も考えて技を打つと良いかもしれません。技を打った後、隙ができてしまいます。それでは、皆さん頑張ってください」
6つのドアが開き、中から人が出てきて、それぞれ案内してくれた。私もそれについていくと、広い部屋に出た。
「それでは、始めさせていただきます」
それから、まさに地獄の特訓が始まった。
特訓がひと段落付いた頃。みんな集まって弁当を食べていた。
「もう、死ぬかと思ったよ。とんでもない技食らってさ。ソウマはどうだった?擦り傷だらけだけど」
「いやあ、森で特訓したんだけど、トラップに引っかかっちゃって」
「俺なんて、やり直ししすぎてふらふらだよ」
「私も。講師さん厳しいね」
「もう妖力無くなっちゃうよ」
「技って難しいね」
「午後はみんなで座学らしいよ」
「座学?意外だね」
「どっちにしろ、座っていられるならいいや」
エントさんの言葉にみんな同感した。
午後1時。いよいよ座学が始まった。そこに立っていたのはギーヨ様だった。
「ギーヨ様!?お忙しくないんですか?」
「大丈夫ですよ。この国、良くも悪くも部下がいっぱいいますから」
さすが、大国は違うと、感心した。ちなみに、国にはランキングがあり、猫の国は1位か2位で、狐の国は50位前後だ。(この世界の妖怪は哺乳類のみで、イルカなども含まれる。)一位の国の王が、50位の国の庶民を気にかけるなど、たとえ隣国だとしても異常なことだった。ぼんやりしていると、テキストがまわってきた。それはとても分厚く、開く前から不穏な空気を醸し出していた。




