第五部 その後の話
病院に何故かギーヨ様がやってきた。
「ギーヨ様?何か御用ですか?」
「まさか、あなたがあんな暴挙に出るとは思いませんでしたよ」
「すみません…」
「あまりご無理をなさらずに。伝えたいのはそれだけです」
ギーヨ様は立ち去っていった。
次の日。
「コウ。朝ごはんまだ?」
「もうすぐ出来る」
コウはもはや部下というより、家政婦になっていた。昨日破れた服を縫い直し、弁当を洗い、と7人もいたら大忙しだ。しかし、他はフォニックスのメンバーとあまり変わらないので、こいつらは甘いなあ、とつくづく思う。しかし、お金は貰えないので、あまりいい生活という訳ではない。刑務所に入れられなかっただけ、ずいぶんましだけど。そんなこんなで、コウは静かに暮らしていた。フォニックスのメンバーと一緒にいると、なんだか暖かい気持ちになるので、この生活を気に入っている自分がいた。
「出来たぞー!」
自分が言うと、みんな集まってきた。毎回思うのは、ソウマさんの背の低さ。ライトさんと同い年というのに、10歳の子供とそう変わらないどころか、むしろ少し小さいくらいだ。しかし、それを口に出すのもどうかと思って、その事については全く話していないけど。みんなは中庭に行き、自分は家事をするという、日常的な日だった。晩ご飯を食べ終わると、みんなで何か見ようという話になって、ホラー映画を見ようということになった。ところが、エントさんは苦手だったようで、ちょうど前にいたソウマさんに抱きついていた。
「ちょっと、やめて!」
ソウマさんが必死に抜け出そうとしたが、力の強いエントさんには到底敵わず、結局ぬいぐるみの様になった。その様子が面白かったのか、ライトさんがゲラゲラ笑っていたが、ソウマさんは終始不機嫌そうな顔をしていた。
その後。
「もう、やめてよね」
「いやあ、あまりに怖かったものだから」
「戦士なのに?」
「こういうのは無理だ」
「そういやあ、ソウマ。お前の特殊能力って…」
「うん。自爆なんだよね」
「あんまり使うなよ?」
「あれは最後の手段だし」
「2人ともー、もう寝ろよー」
「うん。ありがと」
「ソウマー、今日は怖くて寝れなさそうだから一緒に寝てー」
「嫌だよ!ライトさんと一緒に寝ればいいじゃん!」
「それは嫌だし、ソウマのサイズがいいんだもん」
「人が気にしてること言わないでよ!」
なんだかんだで、仲良くなりそうな2人だった。




