第四部 五月雨の中で
その後、私たちは合流し、さらに先へと進んだ。急に雨が降り始めた。しばらく歩いていた。そんな中、先程のあの感覚が忘れられず、ずっと考えていたら、誰かに当たった。
「あっ…ごめ…」
言葉が途中で途切れてしまった。そこには、忘れられない姿があった。
「ギーヨ様!」
「お久しぶりです。ずいぶんと大きくなりましたね」
「そりゃあ、あの時7歳ですし…」
「ね、ね、猫の国王!?」
「アイン、猫の国王と知り合いなのか?」
「…色々あってね」
「お忙しくないのですか?」
みんなが騒ぎ立てる中、ソウマさんが最もな事を言った。
「大丈夫ですよ。それより、先へ進んでください」
言われた通りに、先へ進むと、今までの倍はありそうな大きな部屋に出た。急に照明が付いたかと思うと、1人の男がこちらに歩いて来た。
「よくぞここまで来られましたね。でも、私ではどうでしょう?」
また、不思議な気分に襲われた。しかし、向こうは一筋縄ではいかなかった。
「本能で戦っている様ですが、それでは限界が来ます」
彼は私を弾き飛ばした。
「私はナノガ」
地面に落ちる寸前で、私は誰かに支えられた。後ろを見ると、ライトさんがいた。
「大丈夫か?」
「大丈夫です」
駄目だと分かっているのに、体が勝手に動き出した。ナノガが爪を出し、私に襲いかかって来た。覚悟を決めて目を閉じた。ザン、と音がしたのに、私は何とも無かったので、不思議に思って目を開けると、ソウマさんがいた。
「ソウマさん?」
「大丈夫?」
自分が怪我をしているのに、人の心配をしていて良いのかと、アインは逆に心配になった。
「こうなったら、やるしかないのかなあ」
ソウマさんが急に光り出したと思ったら、ナノガに突進して、近くにいったかと思うと、爆発した。
「ソウマ!」
だんだんと煙が引いていくと、様子が見え始めた。ナノガは倒れていて、ソウマさんはかろうじて立っていた。
「ソウマ!無茶すんなよ!」
「大丈夫だよ、これくらい」
「何がこれくらいだよ!大怪我して自爆して…それより、怪我見せてよ」
「嫌だ」
「何でだよ?」
「…みんなに嫌われる気がして…」
「大丈夫だって!見せろよ!」
それでも見せないソウマさんに痺れを切らしたのか、エントさんが力尽くで見ようとした。力はエントさんが圧倒的に強いらしく、すぐに抑えられた。エントさんがソウマさんの服の袖をめくると、傷だらけだった。
「嫌われるも何も、逆に心配だよ、どうしたんだ?この傷」
「…」
「まあ、無理に答え無くてもいいけど」
その後、病院で処置を受けてもらった。




