人生の削除ボタン
注意事項1
起承転結はありません。
短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。
注意事項2
社内情勢を交えた痛烈な皮肉が入ってます。
生きるのって大変ですよね。
バッドエンドとしたのは、結局なんの解決策も提示出来て居ないからです。
二年半継続してやってきたネトゲのデータが吹き飛ばした。データ削除のボタンを軽々しく押し、今までの思い出を丸ごと消した。それでも何処か虚しさを感じて、朝から連帯、復旧コードを打ち込んでも、復活しなかった。
こんなもんか。こんなもんなんだ。終わりって。呆気ないね。
「その割に落ち込んで無いな」
「疲れてしまったもの。新しいクエストを攻略する為に策を練るのも、繰り返されるデイリーに時間を費やすのも。全部」
所変わって大都会の街中。私達はガードレールに凭れる様にして人々の動向を観察していた。
行き交う人々は休日だと言うのに、スーツを着て、草臥れた革靴を履いて、急か急かと道路を渡っていく。疲れ果てた顔はつい先日の私のようだった。繰り返される日常をただ淡々と粉して、それに飽きてしまったような。
「きっと人生の終わりもそうなんじゃないかな。削除ボタンでも押すように、あっさりと死んでしまうのかもね」
ある日突然、噛み合った歯車の様に、運命に従って死んで行くのだと思う。よく終活なんて言うけれど、終わりってそんな身構えてから来てくれるものでも無くない? そこまで優しく無くない?
私の死んだ目を彼は横目で一瞥すると、また都会の喧騒に目を向けた。視線の先には子連れの母親。困惑した顔で必死になってあやしている。大変だよね。相手が赤子であれ、子供であれ、大人であれ、人を相手にするのは。
「生きる事に希望を見い出せないのか?」
「ん。そうかも」
社会人になったら分かる通り、努力は必ず報われるなんて事はない。頑張って稼いだ金の一部は国に吸われるし、使い道なんざ提示してくれない。頑張った意味とは?
少子化を危惧してる奴らは、単純に子どもを産み落とせという。でもSNS見てみろよ。色んな人が苦悩抱えてるから。産めない人、夫婦関係が冷えてる人、育児に疲れ果てている人。皆、皆、苦労に苦労を重ねて今を生きてるから。そんな世界で私は社会に貢献したいとは思えない。国に献上した金だけで精一杯だわ。
そうやって一生搾取され続けるのかと思うと絶望した。本当にちょっとしたきっかけで、人生の削除ボタンを押してしまいそうな程。運命の歯車を自分で弄ってしまいそう。
「どこ見ても絶望ばっか。生まれ変わりたくもない。死んだら私は優しい土の中で眠り続けたい」
突如、頭の上に掌が乗った。そのまま左右に摩る様にして、頭皮に向かって指を埋めに掛かる。此奴がそんな行動に出たのは、きっと持ち合わせる言葉がなかったからだと思う。何を言っても否定してしまうからだと思う。
あぁ、疲れたな……。
データは飛びましたが良い機会だなぁと。
醍醐味を完全に捨てた遊び方をしていたので、もう実況動画で十分だなぁと。
そしてその消し方が余りにも呆気なかったので。
人生終わる時も、きっとこんな感じなんだと思います。
覚悟決める前にサヨナラしてそうな。
待ってくれる程、現実は優しく無いですし。
結婚するのも、子供を産むのも、生半端な覚悟でやってる人、居ないと思うんですよ。
でも、実際に経験しないと、本来の苦しさとか分からないし、思わず愚痴りたくなる気持ちも分かります。
そんな方々にどんな言葉をかければ正解のなのか、分かりません。
だからこの物語の最後も解決策のないバッドエンドなんです。精一杯なんです。頭を撫でてあげるだけで。
吸血鬼の話で、こういったテーマが薄ら出てくるので、今のうちに布石を置いておこうと。