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9>>マリーナとグエイン





「マリーナ、好きだよ♪ 大好きだよ♪♪」


「グエイン、あ、あ、あ……ぁい……、あ…………りますわっっ!?」


「リマスワ????」


 マリーナの口から出てきた謎の言葉を繰り返してグエインは幸せそうに笑った。マリーナが何を言いたいのか分かっていながらそれをするのは少し意地悪かもしれないと思ってはいたれけど、真っ赤な顔でどもりながらも一生懸命に言おうとしているマリーナがあまりにも可愛くてグエインは我慢が出来なかった。


「〜〜っっっ!!!」


 マリーナは恥ずかしくて自分の熱くなった頬を両手で挟んだ。さっきからグエインの目を1度も見れない。


『愛しておりますわ、婚約者様』


 散々言ってきた言葉を同じように言うだけの事が、何故かグエイン相手には一度も出来ていなかった。

 言おうとすると顔が熱くなって舌がもつれて全然言葉に出来ない。

 マリーナはそんな自分が理解できなくてただただ混乱した。


「ふふ、無理しなくていいよ」


「……」


 優しいグエインの言葉に言い訳しようとする気持ちとその言葉に安心している気持ちが湧く。その2つの気持ちが整理出来なくて、マリーナは言葉が口から出てこない。

 そんなマリーナの葛藤が手に取るように伝わってくるグエインには、そんなマリーナの気持ちが嬉しくて可愛くて、もうずっと顔が緩むのが抑えられなかった。


 目が合うことはないけれど、体は自分の方をずっと向いているマリーナの、その下を向いてしまっている頭に手を置いて、撫でるようにその金色の髪を梳いた。その感触にピクリとマリーナの肩が揺れるのが可愛らしい。


「これからは俺が伝えるから……。

 マリーナには俺の言葉を受け取って欲しい……」


 自己暗示をするかの様に前婚約者に愛を伝えていたマリーナに、自分の気持ちを伝える。

 もうその必要は無いのだと。

 “愛”はこちらから君に囁くからと。


「グエイン……」


 マリーナは少しだけ潤んだ瞳でグエインを見上げた。

 愛を伝える事はしてきても、返された事のなかったマリーナにはグエインの言葉が嬉しくて……少しだけ申し訳ない気持ちになった。


「……変よね、わたくし………。

 あの方にはいくらでも伝える事が出来たのに……貴方を前にすると何故か言葉が口から出てこないの……」


 直ぐに伏せられた瞳の、目尻の辺りが赤くなって色付いている。その色っぽさにマリーナ自身が気づいていないので困る、とグエインは思った。


「簡単に口に出来てた言葉が簡単に言えなくなったって事はさ、マリーナの中でその言葉が“簡単に口にしていい言葉じゃなくなった”って事だよな?

 俺は嬉しいけどな。

 それだけマリーナの中で、俺への言葉が“すごい意味を持った”って事じゃん」


 へへへ、と自分で言った言葉に赤くなって笑ったグエインにマリーナは少しだけ驚いた顔をして、そして言われた意味を理解して顔を真っ赤に染めた。


「わ、わたくし、貴方の事……!??」


 また両手で自分の頬を押さえたマリーナが真っ赤な顔で唇をふるふると震えさせる。

 簡単に愛を口に出来る『家族愛』から、恥ずかしくて簡単に愛を囁いたり出来なくなってしまった『恋愛』に。

 マリーナは自分の中での『愛』の変化にただただ真っ赤になって震えてしまった。

 そんなマリーナの反応が可愛くて、グエインはそんなマリーナの両手にそっと自分の手を添える。


 婚約者だからこそ許される近さに顔を寄せたグエインが、マリーナの揺れる瞳に視線を合わせた。


「愛しているよ、マリーナ。


 これから先もずっと君を好きだと誓うよ……」


 まだ触れる事を許されていない唇に、グエインは息がかかるほどに近付いて愛を囁く。


 震える唇でそれを感受したマリーナは、ただ心の底から湧き上がる気持ちに自分の心を理解した。


──触れてくれたらいいのに……


 なんて、はしたない事を思ったなんて知られたくないわ……


 マリーナはまた目元を赤く染めてグエインから目を逸らす。


「わたくしも…………」


 まだ目を見て言えない言葉が、マリーナ自身を翻弄する。


 そんなマリーナが愛おしくて、グエインは緩む口元を抑えられずに微笑むのだった……。






[完]


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