竜宮戦3
リュウはすぐに襲いかかり、プラズマのDPをなくし始める。
「俺様はハードモード竜宮に入れるか試すツアーコンダクター。手加減したら、おめぇらは中にいるあいつに、瞬殺される。ワンショットキル」
プラズマのDPが減り、再び血にまみれた時、アヤは慌てて時間の巻き戻しを行った。
「へぇ、タイミングがいいな」
リュウは感心したようにアヤを見た後に、嘲笑しながら言う。
「だがっ! 弱すぎるんだよ!」
リュウは再び飛びかかったリカの槍をひしゃくで受け止め、プラズマを水流で叩いた。
今度のプラズマはもろい結界で水流の衝撃をやや緩和させる。
「イッテェっ! ムチ打ちされてるみたいだ。結界で弾いたはずなんだが……」
「結界なんて意味ねぇよ。貫通させてやるからな……おっと」
リカが無意識に浮遊させた槍がリュウを襲った。リュウは危なげにかわし、リカに強い神力を向ける。
「お前、まだ神になって一年目だろ? 神力が弱すぎる」
「……ひっ。な、なに……この力」
リカが強い神力に震え始め、プラズマは光線銃を放ち、リュウをリカから離した。
「なんだ? てめぇ、攻撃がぬるいぜ、未来神。本気をだしやがれ」
リュウはプラズマをてきとうに挑発する。
「ちっ、避けられた……」
「もう一発水流を当てて、戦意喪失させてやるぜ」
「そうはいくかよ! アヤ、早送りしろ!」
プラズマはアヤに突然叫んだ。アヤは肩を跳ねさせて驚くと、プラズマに早送りの時間の鎖を巻く。プラズマは水流をすばやく避け、着地した。
「アヤに頼りすぎんのはダメだ。中の龍神と戦うことになった時、アヤの神力がないと死ぬ」
プラズマはひとりつぶやくと、神力をやや解放した。
うねる水流を目で追い、なんとか避けていく。
「逃げるだけじゃ、俺様にダメージは与えられないぜ」
リュウはさらに水流を出現させ、プラズマを襲う。プラズマは全部を避けきれず、何発か当たってしまった。
「うっぎぎぎ……」
歯を食い縛り、痛みに耐える。
「イテェだろ? 龍神の攻撃はイテェのが基本だ。どうだ? やめるか? 精神壊れんぞ」
「プラズマ……」
アヤが怯えながら時間の巻き戻しを行おうとするが、プラズマが止めた。
「多用するな。あんたがいないとこれからがもたない」
「で、でもっ……血が……」
アヤは震えながらプラズマを見る。
「大丈夫だ」
「そんな……」
アヤが手をおろした刹那、リカがリュウに向かい再び槍の攻撃をおこなった。
「おりゃああ!」
「はあ……おめぇもあれ、食らいたいのか? のたうち回るくらい痛いんだぜ」
リュウは苦笑いをしつつ、リカの槍を軽々とまた受け止める。
「……うう……あ、あなたは……女性に酷いこと、できないんですよね? な、なら私が頑張れば……」
リカは震えつつ、無意識に無形状の槍を多数再び浮遊させていた。
「はあ、おめぇな、ケンカしたことねーだろ? 本気で俺様を倒そうとしてるか? ひとつ、言っておく。俺様はハードモード竜宮に入れるか試す役目。今まで弱い女が来たことはねぇ。手加減はしちまったかもしれねーが、俺様は全部負けてる!」
自慢げにリュウは言う。
「だけどな、こんな、弱いやつは初めてなんだ。こんなの、どう頑張っても負けられねぇぜ」
リュウは飛んでくるリカの槍を軽く避けつつ、プラズマに水流をぶつけ始めた。
「未来神のDPをゼロにしたら、あんたらの敗けだ。あいつは戦い慣れてないから時間の問題だぜ」
「そうはいきません! 私はそんなに弱くないです!」
リカが睨み付けてくるので、リュウはため息をつきつつ、口を開く。
「じゃあ、一発、弱いやつ食らってみろや」
「……うう……いいですよ……、く、食らってやりますよ!」
リカが震えながら叫び、リュウは目線を合わせず、困惑しながら弱い水流を出現させる。
「痛ぇぞ、泣くなよ。顔はやめといてやる」
「リカっ! よけろ!」
プラズマは叫んだが、リカはリュウのひしゃくを受け止めているため、動けない。
リカは思い切り、頭から水をかぶった。
「ひぃぃぃ! って……え?」
「やべ……弱すぎた。コントロールすらうまくできなかったぜ」
リュウがつぶやき、リカは目を丸くする。リュウの水流が弱すぎて、リカは頭から水をかぶり、びしょびしょになっただけだった。
「チャンスだ。アヤ!」
「……は、はい……」
プラズマはアヤを呼び、アヤはプラズマに早送りの鎖を巻く。
プラズマは光線銃をリュウ目掛けて発射させ、リュウのDPを減らし、さらにリュウのふところに入り込み、神力を拳に乗せ、打ち放つ。
「よくもさっきはバカスカやってくれたな! 倍の痛みを与えてやる……」
「マジかよ!」
リュウはリカのことで頭がいっぱいになり、プラズマの攻撃に気づかず、光線銃に当たり、さらにプラズマの強烈な拳が顔面に入り、吹っ飛んでいった。
砂浜に砂を撒き散らして激突したリュウはDP1で倒れこむ。
「えっと、えっと……えいっ!」
リカは迷いながら無形状の槍でリュウを軽く叩いた。
リュウのDPはゼロになり、竜宮が時間を戻し始め、すべてが元に戻る。
「ちくしょう……やられた」
リュウは全回復し、悔しそうに頭をかいた。
「リカ! 大丈夫か!」
「リカ!」
プラズマとアヤがリカに寄り、心配しつつ、ケガの有無を確認する。
「あー、そいつは大丈夫だぜ。水を頭からかぶっただけ。くそ、女の子に優しくしたかっただけの俺様の隙をついて、ヤりにくるとか、最悪だぜ、てめぇら。地の底に落ちて飛龍にボコられちまえ!」
リュウは悪態をつき、プラズマが苦笑いをした。
「いやあ、すまん。なんかイラついて。じゃ、『入城券』渡せよ」
「ほら、死ぬなよ。女ふたりが危うい。てめぇが守れよ、紅雷王」
リュウは乱暴に紙を三枚取り出すとプラズマにかざす。
「その名前で呼ぶんじゃねぇよ!」
プラズマは怒りながら、入城券を奪い取った。