竜宮戦2
「めんどくさいシステムにしやがって……」
プラズマがぼやいた刹那、目の前にリュウが現れた。ひしゃくを振り抜き、プラズマを攻撃する。
「……っ! マジかよ」
プラズマはひしゃくを慌ててかわしたのだが、プラズマのDPケージがやや減っていた。
リュウは恐ろしいほどの水流をまとわせ、さらにプラズマを襲う。
「てめぇがボスなんだろ?」
リュウはにやつきながら容赦のない攻撃をぶつけてきた。水流はうねりをあげ、まるで竜のように唸り、なぜか鞭のように固い。
「だから龍神は嫌なんだよっ!」
プラズマは必死で逃げ始める。
「すばしっこい! さっさと当たって泣けよ」
リュウはひしゃくの攻撃も始め、プラズマのDPがわずかずつ減ってきていた。
「プラズマ!」
ふと、アヤが声を上げ、『巻き戻しの鎖』をプラズマのDPケージに巻く。すると、プラズマのDPケージが攻撃を受ける前に戻った。
「へへっ! アヤには時間を操る力があるんだった!」
プラズマは得意気に笑う。
「へー、反則級な回復技だな」
「おりゃああ!」
ふと、リュウの後ろからリカが霊的武器『無形状のヤリ』を振りかぶり、リュウに攻撃を加えた。
「うおおっ! なんだァ?」
リュウはリカの槍をひしゃくで受け止めつつ、プラズマに水流をぶつける。
「うう……手が痛い……」
リカはリュウの力に負け、押され始めた。
「やれやれ、勇敢だなァ。お前、なにもんなんだよ……」
「こ、怖いよぉ……」
涙目のリカは時計の針のような、光る槍を多数まわりに浮遊させていることに気づいていない。
リュウは水流を二つにわけ、片方の水流でリカの謎の槍をすべて消滅させ、殴りかかるプラズマに水流をぶつける。
「イッテェ!」
水流は水とは思えないほどの衝撃音を発しながら、プラズマに当たった。弾ける音、まるで鞭のようだ。
プラズマのDPは半分になり、腹を押さえて悶え、血を吐き始める。
「プラズマ!」
震えるアヤが再びプラズマを回復させ、プラズマの傷はすっかり消えた。
「はあ……はあ……マジでイテェ……」
「ひっ……」
リカはリュウに怯え、涙目になりながら、ひしゃくを槍で受け止め続ける。リカは両手、リュウは片手だ。
「……弱すぎる……」
リュウがあきれたようにつぶやき、リカにさらに力をかける。
「弱すぎんだよっ! 力比べで負けんのは仕方ねぇ、お前は女だからなっ! だがっ! 他に何かでカバーしろよ!」
「ひぃぃ!」
リカはリュウの荒々しい言葉に怯え、力が弱くなり、震えだした。
「リカを叩くなよ!」
「叩いてねーだろ! 力も半分も出してねーよ!」
プラズマの言葉にリュウはイラついたように叫んだ。
「泣いて怯えている女を殴れるやつは、頭おかしーやつだろ! 最低だ」
「あんた、地味に優しいよな……」
プラズマに言われ、リュウはさらにいらだちを見せる。
「俺様は男だから、なんかちょっと女に手加減しちまうんだよっ! だが! 竜宮で主に戦闘ゲームを担当してるのはヤバい女だ。あいつは手加減を知らねぇし、戦闘に関してはバカみてぇに強えーんだよ。だからな、そんなメソメソ泣いてるような女でも手加減なんかしないんだぜ」
リュウはリカを軽く突き飛ばし、ひしゃくを振り回す。
「時神未来神、てめぇが盾にならねーでどうすんだ。そこの動きの鈍い女二人から狩られるぞ。DPなくなるまでボッコボコだ。見てられねーから、竜宮はあきらめろや。ゲームとはいえ、リアルゲーム。竜宮の、過去を勝手に巻き戻すシステムを使い、このゲームが産み出された! 負けても元に戻るが、痛みは覚えてるだろ?」
「……だな。俺も身体能力が高いわけじゃないからな。栄次がいればなあ……」
プラズマは肩を落とした。
「わかったなら、やめろ」
「ま、負けませんよ! まだ終わってませんし!」
リカが間に入り、槍でリュウに襲いかかる。
「若いねー」
リュウはリカの槍を簡単に受け止めながら、プラズマに目を向けた。
「どうするんだ?」
「ああ、なんかな、あんたに負けるのは……なんだか癪だ」
プラズマはため息をつくと、霊的武器『光線銃』を手から出現させた。