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壱と伍の行方1

 サヨは必死の時神達を、とりあえず浮遊させ、宇宙空間に舞い上がった。


 「んまあ、なんだかわからないけど~、なんとかなったの? 今ね、壱(現世)が大変なことになっちゃってんの!」

 「ええ、時間が止まっているのよね?」

 アヤは気持ちを落ち着かせると、サヨに答える。


 「そー、そー、あたしはとりあえず、この辺で遊んでただけー。別に壱と伍が離れても平和がおびやかされるわけじゃないからさあ」

 「で、でも……あの……伍は私の故郷なんだ。完全に離されたら、伍の時間を守れないんだよ」

 リカはいつの間にか、伍の世界も守る方向へ心が向かっていた。


 「んー、リカ、向こうは信仰もないんだよん? 神に頼らず、なんとかしていくよ、たぶんー」

 サヨは首を傾げてリカを見る。


 「最近、ようやく神の……、想像物の認識が広まったんだ。向こうには神が産まれている。私が……伍の時神なら……伍の人達を守らないといけないと思う」

 リカはここまでサヨに言うと、口を閉ざした。


 ……あれ? 私、マナさんと同じこと、やろうとしてない……?

 やっぱり、私の中には……マナさんが……。


 「リカ……」

 リカが迷っていると、プラズマが珍しく真面目な顔で名前を呼んだ。


 「……プラズマさん?」


 「迷うな。あんたはあんただよ、リカ。ワイズと剣王のやることが『間違い』なんだと感じるなら、それはあんたにとって間違いなんだ。


 あいつらにとっては正義でもな。


 目上の神? そんなの関係ないんだよ。こっちの神はな、神力の上下関係なく、平等なんだ。俺達の上にいる縁神(えにしのかみ)はな、俺よりも神力が下なんだよ。

 

 歯向かってもいいんだ。剣王は歯向かった俺達を殺せなかったし、俺達を汚い言葉で罵ったりもしてねぇだろ?」

 プラズマは神力を使いすぎたのか、息をあげながらリカに言う。


 リカは呼吸を落ち着かせると、プラズマにお礼を言った。


 「プラズマさん、ありがとうございます。その言葉、心に入れて、私、がんばります」

 リカは辛そうなプラズマを気にかけながら、今度はサヨを見る。


 「サヨ、壱に連れていってほしい。剣王とワイズを止める。私は壱と伍を切り離したくない」

 「そーお? ま、いーけど。あたしは今回中立を保たないといけないから、何にもできないよ」

 サヨは困惑しながら返事をした。


 「……そうと決まれば、いくぞ」

 プラズマの言葉で時神達は頷き、サヨを見る。


 「えー、あー、わ、わかったよん。連れていきます! 壱に送ればいーんでしょ! はいはーい」

 サヨが手を前にかざし、空間を開いた。真っ黒で何もない空間を指差し、言う。


 「はい、じゃ、飛び込んで。さっきんとこに戻るから」

 「こんな簡単に戻れるのかよ……」

 プラズマのあきれ声を最後に、時神達は壱の世界へと再び戻った。一瞬視界が暗くなり、再び明るくなった時、誰かの声が聞こえてきた。聞いたことのある軽い感じの男の声。


 「あー、もう出てきたかあ……」

 それは剣王がうんざりしている声だった。


 雪が残る道路と億物件の土地の前に、気がついたら時神達は立っていた。先程、剣王から逃げた場所。


 突然剣王にぶち当たり、リカは怯えた。決意はしたものの、リカは剣王に何度も殺されている。

 単純に怖かった。

 アヤがリカに寄り添い、プラズマと栄次が前に立つ。

 しかし、前に立った所でプラズマがふらりと突然前に倒れ込んだ。

 「あー、やべぇ……」

 プラズマの霊的着物は剥がれ、髪も短くなり、元のプラズマに戻っていく。

 それを見ながら剣王が不気味に笑っていた。

 「……やっと神力がなくなったか。君は厄介だったんだ。ムスビ君はなかなか働いてくれたようだねぇ」

 「ここまで仕組んでいたなら、立派だな……」

 プラズマは苦しそうに立ち上がるが、再び倒れ込んだ。

 「プラズマ!」

 「プラズマさん!」

 アヤとリカが心配そうに駆け寄り、栄次は剣王の出方をうかがいつつ、プラズマに寄る。


 「栄次……俺はもうダメだ」

 プラズマは栄次を力なく見上げた。


 「ああ……神力の使いすぎだ」

 「あんたなら、女二人くらい守ってやれんだろ? アヤとリカの力もらって、皆で戦え」

 「ああ……」

 「頼んだ……。負けんなよ、栄次。俺は離脱だ」

 「ゆっくり休め、プラズマ。……そして、尊敬しております。紅雷王様」

 二人はお互いの拳を当てあい、プラズマは栄次に先のことをたくし、気を失った。

挿絵(By みてみん)

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― 新着の感想 ―
[一言] プラズマ……いい男だ(。´Д⊂) 栄次も、いつもまっすぐで、優しくて。 剣王とのラストバトルは大変そうだけど、がんばれー!
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