夢の世界に戦火の日3
こばるとを寝かせたプラズマは縁側に腰をかけた。真っ暗な庭に虫の声が響く。鳴いているのは秋の虫だ。
プラズマは欠けた月を見上げ、歌を口ずさみ始めた。
「深いわだちのただの道、踏みしめ歩く若者は、戦車の道を突き進む。銃器火器などもろもろに、狙いを定め歩きます……」
風が通りすぎる。
「色んな歌があったな……そういえば。女は乗せない戦闘機……とか」
プラズマは月をぼんやり見つめ、つぶやいた。
「ああ、ダメだ。もう眠い」
あらかじめ持ってきていた一杯の水を飲み干すとプラズマは寝室に戻った。
ここ最近、世界改変あたりのことをよく思い出す。アマテラス大神はまだプラズマの記憶には出てこない。
眠りたくない。夢にまで出そうだ。
「なんだ、この、強烈な眠気は」
プラズマは半分気絶する勢いで布団にくるまった。
秋の虫が鳴いている。
※※
「準備できたかね?」
金色の髪に着物姿の少女は残りの三柱の少女に声をかける。三柱とも金色の髪に同じような目をしていることから姉妹のようだ。
「マイお姉ちゃん、ちょっと音響の方が……」
なにやら絵を描いている少女は笛を持っている少女を心配そうに見つめる。
「セイ、BGM がでかいな」
「もうちょい下げます!」
ツインテールの笛持ち少女セイは指を動かしなにやら調整を始めた。
「ライ、背景美術は完璧だな」
マイお姉ちゃんと呼ばれた着物姿の少女は絵を微調整していたライを褒め、ライは筆を動かしながら喜んだ。
「マイお姉ちゃんのお人形がちゃんと映えるように背景は描きこまないとね」
「後はユイだが……」
マイは背中を向けて座っている少女に目を向けた。少女はプログラミング作業のようなものをずっと繰り返していた。
「こんな機会ないぜぃ! 黄泉にいっちゃってた『世界の過去』を掘り起こしてゲーム作れるなんてなぁ! 最強の創作だ!」
「ユイ、けっこう作り込んでるね」
ライはユイを眺めつつ、マイにつぶやいた。
「演劇などが専門の私達にはわからん内容だが、現実世界をシミュレーションできるゲームなのはおもしろい」
「いや、それはいいんだけど、私達、ワイズに怒られないかな? ワイズ、旧世界関係嫌いじゃん……」
「ワイズは止めに来ていない。このままワイズに一泡ふかせてやろう」
マイは傀儡人形を持ち、楽しそうに笑った。




