リカの世界書1
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本編
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……別に気になるわけじゃない。
今は桜の季節。新しい出会いの時期。
制服のスカートを揺らし、夕日を見ながらリカは思う。
……気になるわけじゃない。
現在リカは高校から家に帰る最中だ。商店街を抜けて民家を通りすぎ、小さな公園を横切り、近道をする。
……私は気になってなんかない。
大人気TOKIの世界書の作家、マナさんが言っていたことなんて。
「よう、そこの少女! TOKIの世界はあるぜ! 出会いの季節なのに考えていることは恋じゃないのか」
ふと公園のベンチから苦笑している男の声がした。
「……?」
リカは突然知らない男から声をかけられ、体を固まらせた。目線を恐る恐るベンチに向けると、奇妙な格好の男がベンチに座っていた。
創作な着物を着込み、紫色の髪をした鋭い目の若い男。
ハロウィーンなどのイベント会場にいそうな人だ。
夕暮れの普通の公園にいるのが、なんだか怖い。
「よぅ! 俺が見える?」
男は軽くリカに声をかけてきた。
「……え、えー……い、急いでるんで……」
リカは慌てて男の前を通りすぎた。出会いの季節に出会った男が不思議な人だったとは……。
「もう一度言うぜ。TOKIの世界はある。行きてぇなら行ってみたらどうだ?」
口角を上げ、不気味に笑った男はリカの背中越しに再び声をかけてきた。
「TOKIの世界はある」
「……」
リカは会話せずに通りすぎた。
……なんなの? あの人……こっわ。
リカは気味悪く思いながら公園を抜けて、なるべく大通りから帰ることにした。心臓が早鐘を打っている。とても怖かった。
TOKIの世界書シリーズは現在話題になっている小説である。あの男はその小説の世界が本当にあると言っていた。妄想の激しい人か、あの作品が大好きな人か。
どちらでもかまわないが、リカがその事を考えていた時に、まるで心を読んだかのような発言が不気味だった。
「……ああ、怖かった……。後ろにいないよね?」
リカはある程度歩いた後、後ろを振り返った。太陽は沈み、街灯がつき始めている。
男はいなかった。
「いない……良かった」
「あ! リカちゃん!」
リカが安心した顔で家への道を歩き始めた刹那、また声をかけられた。リカは肩を跳ね上げて驚き、石のように固まる。
「あれ? どうしたの? リカちゃん?」
「えと……忙しいんで……あの……では!」
「ちょ、ちょっと待って!」
慌てた女の声でリカは立ち止まった。
「……なんか聞き覚えがある声」
リカは振り返り、話しかけてきた者を見た。黒髪ロングのツインテールが見え、さらにメガネを確認したところでリカは安堵の表情を見せた。
「マナさん……」
「ねぇ、どうしたの? すごい顔して歩いていた……けど」
メガネの少女マナは様子のおかしいリカを心配して声をかけたらしい。ちなみにマナはリカの先輩である。小説書きの先輩というだけだが。
「マナさん!! 怖い人に会った!」
リカは半分涙目でマナに訴えかけた。
「え?」
「怖い人! マナさんのTOKIの世界書が好きなのかわかんないけど、TOKIの世界が本当にあるっていうんだよ……。すごい格好してたし」
「……どんな人?」
マナはリカの言葉に目を細めた。
「どんな人って……なんかすっごい紫の髪で、変な装飾品いっぱいつけてる、着物みたいなの着てる人!」
リカは不安な気持ちをぶつけるようにマナにまくしたてた。
「……。見えたの?」
「え?」
マナの発言にリカの頬に汗がつたう。
「見えたってどういう……」
「まあ、姿がわかる段階で見えているか。見えたんだね、リカちゃん」
……よう! 俺が見える?
そういえば先程の男も同じ事を言った。
「み、見えるって……何? 普通に見えるでしょ……。ねぇ?」
「わかった。リカちゃん。突然だけど……平行世界に行ってみたくない?」
「はい? なに? 創作の話? パラレルワールド大好きだよ!」
真面目なマナにリカは苦笑いを浮かべながら返答した。
「じゃあ……ちょっと行ってみようか」
マナがリカに微笑みかけた刹那、生暖かい風がふわりと二人を駆け抜けていった。桜の花びらが舞い、とても美しい雰囲気。
思わず見とれていたリカはしばらく呆然としていたが、マナに目線を合わせたとたんに目を見開いてしまった。
「マ、マナさん……目……」
なんと、マナの瞳が金色に輝いていたのだ。風が吹き抜けた後、マナの瞳は元の黒い瞳に戻っていた。
……な、なんだったの?
目が……金色に……。
リカはマナを初めて不思議な人だと思った。
「今日の……深夜零時。あの公園で待っているから」
マナはそういうと手を振り、微笑みながら去っていった。
「……え?」
唐突すぎて何もついていけなかったリカは、
「は?」
と、マナが去ってから、もう一度疑問を口にした。