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夢の世界に戦火の日2

 プラズマは未来見でこばるとの動きを予測し、こばるとを捕まえるとこばるとの尻を軽く叩いた。


 「裸で走り回るな、コラ」

 「お風呂用クレヨンがない!」

 「今日はオモチャにしよう。お風呂クレヨンは風呂の壁を掃除すんのが大変なんだよ……」


 「ま、いっか!」

 「はい、じゃ、お風呂だな」

 てきとうな会話をしつつ、プラズマはこばるととお風呂に入る。プラズマはこばるとの頭と体を一緒に洗い、頭からシャワーをぶっかけた。


 「ちょ! 目にお水入った!」

 「こんくらい大丈夫だろ……。もしや顔を水で洗えないのか?」


 「洗えないよ! 栄次はもっと丁寧に洗ってくれるのにー! 栄次、シャンプー、リンス、体洗うやつわけてるし、シャワーもおでこに手を当てて水こないようにしてくれる!」


 「あの男、マメだなあ……。まぁ、慣れ慣れ! アハハ」

 「むー! まあ、いいや。はい、オモチャ! 船と飛行機だよ!」

 こばるとは風呂のヘリに置いてあったオモチャを二つ持つと遊び始めた。


 「まず、お風呂に入ろうぜ」

 プラズマがこばるとを風呂釜の中に入れ、自分も入った。

 「それで? 何するの?」

 プラズマが尋ねるとこばるとは突然に飛行機を動かし、お話を始めた。


 「せんかい! せんかーい! あ、船ばーさす飛行機ね!」

 「……ああ……」

 プラズマは一緒に遊んでやりながら、爆弾を落とすヒコウキを思い出していた。


 ……こうやって飛んできて……

 ……こうやって爆弾を……

 浮いている船を見て空母艦を思い出していた。


 ……こうやってヒコウキが飛んでいった。敵空母にこうやって落ちた。

 敵空母艦は海に沈んだ。


 「ちょっとプラズマ! 船を沈めないでよ!」

 「あ、ああ、ごめん」

 こばるとを見て当時の少年を思い出した。


 ……俺も! お国のためになんかする! このまま負けっぱなしでいいわけない! あいつらはなんだ、国の敵だ!


 ……あのな、向こうもこの国のせいで沢山の人が死んでいるんだ……。向こうもこちらと同じ心情なんだよ。


 ……許さない。お兄さんはどっちの立場なの? このまま負けっぱなしでいいの? 知ってるんだ。負けてるの。

 国は勝ってるっていうんだけどね。


 プラズマは顔を歪めた。


 ……お母さん、落ちてきたヤツで死んだよ。弟はたぶん生きてる。

 ほら、おんぶしたんだ。

 まだ首がすわってないから、ぐにゃぐにゃだよ。赤ちゃんだから動かないし。


 それから少し風邪をひいてるみたい。

 氷みたいに冷たいんだ。

 これ、いつ終わるのかな。

 あいつら、全員殺してやりたい。


 背負った赤子は動かない。

 少年は火の海で顔を真っ黒にさせたまま、プラズマを睨み付けていた。


 こんな状態で向こうの肩も持つのかと。


 「プラズマ! プラズマ!」

 「はっ!」

 プラズマは我に返った。こばるとが心配そうにプラズマを見つめる。


 「ああ、ごめん……ごめんな」

 プラズマは慌ててあやまった。

 「なんで、泣いてるの? お話、おもしろくなかった?」

 こばるとの発言でプラズマは泣いていることに気づいた。


 「いや、独創的だった。こばると、涙ってな、嬉しくても出るんだぞ。笑い泣きって知ってる?」

 プラズマが笑ったことでこばるとは安心した。のぼせるからとふたりはお風呂から出た。こばるとの頭をふいてやりながらプラズマはぼんやり思った。


 ……なぜ、未来神なのに過去を思い出しているのか。


 ドライヤーでこばるとの髪をかわかしながら違和感のある恐怖を覚える。

 時神は全員そろった。


 トラッシュボックス黄泉から救われたこばるとは常に「葬り去られた過去」を引っ張り出してくる。 

 世界大戦より前の、改変する前の世界をこばるとは映し出す……。


 なにも知らない彼の瞳にうつるのは、旧世界の歴史とアマテラス大神だ。


 アマテラス……大神……は()にいる。

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