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黒幕をどうするか?4

 プラズマとアヤは会議が終わってから剣王の城から出た。

 広場のような場所でプラズマは立ち止まる。


 「プラズマ……ごめんなさい」

 アヤがプラズマの背中に向かい声をかけたが返答はなかった。


 「……どいつもこいつも……」

 プラズマが絞り出すように言葉を発する。

 「なめやがって……。俺がアマテラス神力を持つとわかっていながら会議を進めやがって……」

 プラズマはその場でしゃがみこみ、唇を噛み締めた。


 「なめやがってっ! おちょくりやがって! なにが処刑だ……! なにが残虐な罰だ!」

 プラズマは地面に指が食い込むほどに怒りをあらわにしていた。


 「俺は認めちゃいけなかった! あいつらはわかってて俺に判断をさせた! こうやっていいように使われていく! 俺はあの時、認めちゃいけなかったんだよっ! なあ、アヤ!」

 プラズマは唇を噛み締めながら悔しそうに泣いていた。


 「……プラズマ……でも、でもね、私は……ナオはあれで良かったと思うわ」

 「あんたがそう言ったから……俺は動けなかったんだよ!」

 プラズマにそう言われたアヤは何も言うことができなくなった。


 「あの女神には苦しんでほしいとは思ったが、残虐な行為を望んでいるわけではなかった! 違うんだよ、俺は! あの茶番が許せなかったんだ! ナオに重刑を下す気もなかったくせに! こばるとはどうなる! 俺がおちょくられて帰されて……どんな気持ちになる! こんな価値のねぇ会議、時神として見られたくねぇよ!」


 プラズマは怒声を上げた。


 「プラズマ……いや、紅雷王……あんたの判断は立派だったよ」

 ふと後ろからムスビの声がした。

 プラズマは後ろを振り返り、ムスビを睨み付けた。


 「……睨みたい気持ちもよくわかるさ。だから俺も、ナオさんと同じ罰を受けることにした」


 「たった五ヶ月の封印刑……こばるとは二十年も強い神力に当てられてズタズタだ。もう元に戻らないかもしれない。釣り合うと思うか」

 プラズマは圧し殺した声で静かに言った。怒りが渦巻いている。


 「釣り合わねぇよ。わかってるさ。だから、俺はあんたの気持ちを晴らしに来たんだ」


 「あんたが来ても晴れねぇよ」


 「プラズマ、俺と戦え。俺はお前と同等の神力。封印刑になる前に俺の神力を最低まで落とせば罪を重くできる。ナオさんと共にぶっ倒れてやるよ。ああ、ナオさんはタケミカヅチの神力に、俺は天記神の神力に縛られる。天記神は俺よりわずかに神力が上なだけ。俺の封印刑はたいしたことはない」


 ムスビは突然神力をはね上げた。


 「そんなに怒ってんだから、逃げねぇよな? プラズマ」

 ムスビがあおるとプラズマは目を見開き、神力を上げた。


 「ちょ、ちょっと……やめなさい……」

 アヤが震えながら見ていると横に栄優が来ていた。


 「お嬢さん、お互いに納得のいく戦いだ。眺めていようか」

 栄優はアヤを連れて少しだけ離れた。


 「なんでこんなことに……私のせいなのかしら……。でもナオを……」


 「お嬢さん、お嬢さんはそれでいいんじゃないかねぇ? あれはただの納得のいかなかった者同士の喧嘩だ。ムスビくんはね、自分が蚊帳の外におかれて怒っているんだぁよ。彼はナオの共犯で長い期間黙認していたんだ。それなのに裁かれたのはナオだけ。納得いかなかったんだろうねぇ。テンキさんに自分を罰しろと言ったらしい。それで、あれよ」


 栄優はふたりが神力をぶつけ合うのを眺めていた。


 「いいねぇ。あれが神力の戦いか。興味あるなぁ。未来の兄ちゃん、本気だねぇ。この際だから強さを見ておくといいよ。あんたの上にいるあの紅雷王がどれだけ化け物かわかるはずだぜぃ。アマテラス神力を取り戻したらしい今はさらになぁ」


 「……なんでこんなことに……」

 アヤは目を伏せてふたりの戦いを見守った。

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