データを壊された神3
アヤは楽しそうに遊ぶ三人を眺めた。
「いきなり戸惑ってしまったわ」
涙を拭い、軽く微笑む。
「ああなるとは予想外だったな」
プラズマもなんとなく返答した。どうしようか迷っていると歴史神から通信が入った。
「プラズマさん、聞こえるかしら。アヤさんを連れ、高天原へ。ナオさんについての話し合いが行われます」
通信は天記神からだった。
「高天原会議か。わかった」
プラズマはアヤを見た。
「ナオのことね。行きましょう」
アヤも頷き、トケイに目配せをした。
「私達をあの図書館まで送ってくれるかしら?」
「いいよ。行こう」
トケイはすぐに返事をした。
「サヨ、俺達は高天原会議に行くことになった。他の時神とこばるとをとりあえず監視してくれ」
プラズマがサヨに指示を出し、アヤとトケイと共に歩き出した。
「わかった! ナオの裁判でしょ。いい話を期待してるね」
サヨは廊下を歩き出した三柱に明るく、そう答えた。
白い花畑を抜けて、お墓を眺めたアヤとプラズマはトケイに乗り、再び世界から離脱した。
トケイはふたりを連れ、宇宙空間を飛ぶ。
「あの、こばるとが戻ってきたね……。とりあえず良かったかな?」
トケイはアヤの気持ちが知りたかったようだ。
「良かったと言えるかはわからなかったけれど、顔が見れたら、嬉しい気持ちになったわ。色んな感情を置き去りにして」
「そう……」
「あの子にどう接すればいいのかしら……。私は当時のあの子の母親じゃない……。今の私は時神のアヤなのよ」
「無理に母親になろうとしなくていいんじゃないかな。時神は僕も含めていっぱいいるから、皆がめんどうをみるよ」
トケイはおだやかな顔でアヤに答えた。
「ありがとう、トケイ……」
「あの子に関してはよくわからない。どこまでの記憶があるのか、どの程度壊れているか、まだ時神なのか……」
トケイはさらに続けた。
「時神ならば……時神再生神のサヨちゃんがある程度修復したはず」
「そうね。きっと私が決断できなかった時にあそこまで元気にしてくれたんだわ」
「まあ、それも含めて聞いてこよう。会議で」
プラズマがアヤの肩を優しく叩き、アヤは前を向いた。
「さあ、ここから歩けば図書館だよ。僕はここまでしか行けないから……」
トケイは何もない場所で止まった。
「あ、ありがとう」
プラズマはお礼を言った後に足がつくか恐る恐る踏み出した。宇宙空間しかないのに地面のように立てた。アヤも足をつける。
「私には全然弐の世界の境がわからなかったわ」
「俺もだよ。トケイの特殊な能力も気になっている」
「じゃあ僕はサヨちゃんの世界に帰るね。なるべくいい話を期待しているね……」
トケイがそう言ったので、アヤとプラズマはもう一度お礼を言って歩き出した。




