表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
28/316

新しい世界4

 「あー……」

 リカはベッドの上にいた。

 身体をとりあえず起こす。


 「終わった……」

 窓から落ち葉が風に舞うのが見える。気がつくと寒くなっていた。


 ……寒く……。


 もうリカには、「先ほどまで夏だったよね」とか、「秋だった気がする」とか、不思議がる余裕もなく、冬になっていたとしても、気にかけはしない。


 「あーあ。もうヤダなァ……」

 いままで頑張った自分を思い出す。もう新しそうな場所はない。

 新しいことをするのも怖い。


 ……殺されたくない……。

 一番出会ったらまずいのは「タケミカヅチ」。ほぼ、間違いなく死ぬ。

 ならば、どうするか。


 「えーと、どうしようとしていたんだったかなあ……」

 アヤに会って何かをする予定だった気がする。


 「えっと、えーと……。あ、メグ!」

 しばらく悩んだリカは脳を元に戻し、情報を整理した。


 「アヤさんがメグを知っていたんだ! だからっ……」

 そこまで考えて新たな策を思い付いた。アヤに会ってからサキに会うことになるのだが、それを元々会っていたことにするのはどうだろうか。


 元々サキに会っていると嘘をついたら、もう一度会おうとはならないはずだ。


 「なんの神なのかとか、ある程度の情報はあるんだ」

 リカは息を深く吐くと、覚悟を決めた。


 「よし」

 気持ちを落ち着かせたところでチャイムが鳴った。


 マナが来たのだ。

 リカは玄関先を睨み付けてから、ドアを開け、変わらぬ笑顔のマナを迎える。


 なにかを話している。

 耳にはもう入ってこない。

 リカは中身を知っているが、内容はすり抜けていく。


 「うん、わかった! 行く」

 話を何も聞いていないのに、リカは心底楽しそうに頷いた。


 ……はあ。

 このやりとり、なんなんだろ。

 何度も何度も、都合の悪いところで消されるゲームのセーブデータみたい。


 空が曇り始める。

 今夜も降りそうだ。

 寒々しい雨が。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 情報を活用して別の活路を見い出せるか(≧◇≦*) とりあえず、何かしないと抜け出せないし……(´・ω・`)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ