新しい世界4
「あー……」
リカはベッドの上にいた。
身体をとりあえず起こす。
「終わった……」
窓から落ち葉が風に舞うのが見える。気がつくと寒くなっていた。
……寒く……。
もうリカには、「先ほどまで夏だったよね」とか、「秋だった気がする」とか、不思議がる余裕もなく、冬になっていたとしても、気にかけはしない。
「あーあ。もうヤダなァ……」
いままで頑張った自分を思い出す。もう新しそうな場所はない。
新しいことをするのも怖い。
……殺されたくない……。
一番出会ったらまずいのは「タケミカヅチ」。ほぼ、間違いなく死ぬ。
ならば、どうするか。
「えーと、どうしようとしていたんだったかなあ……」
アヤに会って何かをする予定だった気がする。
「えっと、えーと……。あ、メグ!」
しばらく悩んだリカは脳を元に戻し、情報を整理した。
「アヤさんがメグを知っていたんだ! だからっ……」
そこまで考えて新たな策を思い付いた。アヤに会ってからサキに会うことになるのだが、それを元々会っていたことにするのはどうだろうか。
元々サキに会っていると嘘をついたら、もう一度会おうとはならないはずだ。
「なんの神なのかとか、ある程度の情報はあるんだ」
リカは息を深く吐くと、覚悟を決めた。
「よし」
気持ちを落ち着かせたところでチャイムが鳴った。
マナが来たのだ。
リカは玄関先を睨み付けてから、ドアを開け、変わらぬ笑顔のマナを迎える。
なにかを話している。
耳にはもう入ってこない。
リカは中身を知っているが、内容はすり抜けていく。
「うん、わかった! 行く」
話を何も聞いていないのに、リカは心底楽しそうに頷いた。
……はあ。
このやりとり、なんなんだろ。
何度も何度も、都合の悪いところで消されるゲームのセーブデータみたい。
空が曇り始める。
今夜も降りそうだ。
寒々しい雨が。