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チルドレンズドリームズ1

 壱へと向かい、時神さんの部屋に出るサヨ。こちらの世界にいるルナが寝ているのを見つけた。


 「ルナは起きてない……。とりあえず、寝ちゃったって言って家に連れ帰った方がいいよな……」


 サヨは目覚めないこちらのルナを重そうに抱え、時神さんのおうちの隣、自分の家に戻った。

 寝ている子は重い。


 サヨはインターフォンを鳴らし、ママを呼んだ。

 すぐにサヨの母、ユリが出てきて寝ているルナに驚く。


 「あ~……お隣さんのおうちで遊んでいたら寝ちゃってさ、おうちに帰ってきた。ママ、布団に寝かせといて。めっちゃ疲れてそうだからしばらく起きないかも!」


 「え?」

 サヨはルナをユリに渡した。


 「ああ、超重かったわ。あたし、これからちょっと用事あるから、あたしは行くね! ママはのんびりしてて。……ちなみに、ルナへのいじめは終わってないよ。先生が見ていないところでエスカレートしてる」


 「……そう」

 ユリはサヨの去る背中を見つつ、小さく呟いた。

 

※※


 「ル~ナ! ねー、あっちのル~ナ!」

 ルナは全体的に桃色な世界で倒れているもうひとりのルナを起こしていた。


 「ん……?」

 「あ、起きた」

 「……ルナ?」

 壱の世界のルナは目の前にいるもうひとりのルナに寝ぼけた顔を向けた。


 「なんか、わかりにくいよね。ルナ達、ルナルナだし。そっちのルナはルーちゃんって呼ぶ!」

 ルナは壱の世界のルナをルーちゃんと呼ぶことにした。


 「ルナは……また、夢の世界にきたの……かな?」

 「うん! ここにいるなら、ルーちゃんはこっちにきてる!」

 「よ、よくわからないよ……」

 壱のルナは戸惑いながらルナを見ていた。


 「ルナね、ルーちゃんの敵討ち……しようとしたんだよ。でも、なんか失敗しちゃったみたい。ルナ、なんかむなしくなっちゃった」


 「敵討ちって……」


 「いじめた奴らを夢の世界に呼んで、ぶっとばしちゃったんだ」

 ルナの発言に壱のルナは目を見開いた。


 「ちょっと待って……ルナはそんなこと、望んでないよ……。暴力は良くないんだよ……。ルナだってケガしちゃうじゃない」


 「そうだよね。ルナ、間違えたのかもしれないなあって思った」


 「……ルナ、怪我、したんじゃないの?」

 壱のルナは心配そうにルナを見た。


 「うん……まあ……。でも、夢の処理になったから、怪我は治ったけど」

 ルナは無理やり微笑むと壱のルナにぴったり寄り添って座った。


 「ねぇ、ルーちゃんはさ、なんでルナを呼んだの?」

 ルナは壱のルナに尋ねた。

 壱のルナは首を傾げる。


 「呼ぶって……?」

 「ルーちゃんがさ、ルナをルーちゃんの世界に呼んだから、ここに来たんだよ。ルナは霊だから、呼ばれたら行く!」


 「ルナは呼んでない……のだけど。でも……会いたいとは思った……かも」

 「……そっか! ……あ、そっか。ルーちゃんは……大人になれるんだ……」

 ルナは壱のルナの未来見をしていた。


 「え?」

 「ルナは……変わらないんだ」

 「ルナ?」

 ルナはなんとも言えない顔で下を向いた。


 「ルーちゃんはさ、ちゃんと大人になってさ、けっこんして、こども産む。この変ないじめ、すぐ終わるよ」

 「……そうなの?」

 「うん。ルナ、未来が見えるからね」

 ルナは立ち上がると空を仰いだ。桃色な空間なのに、空は抜けるような青空。


 「未来が……見える?」

 「見えるよ。ルナはこのまま。変わらないんだ。ルナは大人になれないみたい。だったらいっそのこと、時神皆、子供だったらいいのに」


 「……ルナにはよくわからないけれど、そんなこと言うのはよくないよ……」

 壱のルナは心配そうにルナを見ていた。


 「ルナはね、たぶん、怒られて責任とらなきゃならない。ルナはたぶん、ダメなことした」


 「……暴力はダメだよ……。それはダメだったと思う。ルナのためにしてくれたのはうれしい。でも……やっぱりダメ」


 「……うん、だよね」

 「たぶん、ルナ達、お互い呼びあったんだ」

 二人のルナは再び寄り添って座った。

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― 新着の感想 ―
[一言] ルナ、やっぱり変なことを望んでいますね…もう一人のルナはそれに反対していますが…これが影響してしまったのでしょうか.
2023/06/17 00:24 退会済み
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