時空が歪む1
「アヤの年齢がどんどん戻っていっちゃう!」
サヨが叫び、更夜とプラズマはルナを観察した。
「あちらのルナの心の内部からルナが時空を歪ませたから、現代神がおかしくなったのか? 年齢が戻り続けてるのか?」
プラズマがサヨに尋ねた刹那、サヨがその場に現れた。
「たぶん、そんな感じかも! はやく来て!」
「現代神の時間が巻き戻ったら存在がなくなる可能性もあるのか」
更夜が尋ね、プラズマが冷や汗を拭いながら頷いた。
「そうだ。ルナを落ち着かせないといけない」
「プラズマ、あちら側のルナは今後どうなる?」
更夜がプラズマにだけ聞こえるように耳元で話す。
「……問題なく大人になる。いまのところな。ルナがやったことは悪夢の処理となり、ルナをいじめていた子供達は改心する。……だけどな、更夜。本来の未来は『あちらのルナが解決する』予定だった。おそらく、バックアップ世界、陸の世界で微妙に狂う可能性がある。ルナの力は怖いな。時空を歪ませた余波が現代神にいった……」
プラズマが答え、更夜がルナを抱きしめながら静かに言った。
「そうか……ならば、ルナにあちらのルナが立ち上がれるところを見せにいく。悪夢処理となった子供達の様子も見なければ」
「どうするつもりだよ?」
プラズマが尋ね、更夜は優しくルナを離し、立ち上がった。
「未来見をルナにさせる。現実を見させてやらねば」
「……そうか。向こうのルナは大人になる。この子はこのままだ。傷つくんじゃないか?」
「現実世界との違いはもう、教えないとならない。トラブルばかり起こされたら、ルナも、お前も危ない」
更夜がそう言い、プラズマが目を伏せる。
「ルナはあんたに任せるよ。こちらはアヤのことで精一杯になりそうだ……」
プラズマがサヨを見、サヨが壱への扉を出現させた。
「じゃあ、早く……」
サヨが言いかけた時、栄次の焦った声が頭に響いた。
「プラズマ! 大変なことになった!」
「栄次か? 神力電話してくるなんて珍しいな……」
「リカが童に……アヤがさらに小さくなった!」
「ヤバイな……。リカは……幼少期がなかったはず……。なぜ、子供に?」
「プラズマくん、とりあえず、戻ろう! 壱に! おじいちゃん、ルナをお願い!」
サヨがプラズマを引っ張り、壱への扉を開けた。