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最後まで戦え1

 サヨは転がっていたプラズマと冷林を止め、ルナに抱きついた。


 「ルナ! やったんだよ! あんた! お姉ちゃんの言ったこと覚えてたんだね! あんた、やっぱ賢いわ!」


 「お、お姉ちゃん! ルナはちゃんと覚えてた! プラズマが助けてくれた!」

 ルナはにこやかに笑いながらプラズマを仰いだ。


 「え~……それより、サヨ……」

 プラズマが盛り上がるサヨを止め、重要なことを尋ねる。


 「なんかあったんじゃねーの? あちこち切り傷……。こんな調子だと更夜からお仕置きだぞ。あの男が大好きなお尻百叩きの刑なわけだ」


 「あ~……首突っ込んだわけじゃないんだけどー、リカがワイズに消されそうだったから、現世に連れてって守ったんだよん。それの怪我。


 なんか、神力が刃物みたいに刺さってきて、変な感じだったわ~。


 てか、おじいちゃんはほとんどお尻なんて叩かないんだから! 私は三回くらい……やられたか? ま、まあ、あたしやルナが世界を脅かしたり、消滅するようなことをした時だけ、マジで怖いから!」


 「今回、対象だな。サヨ。神力、わけてやるよ。俺も限界に近いんで、たいしてあげらんないが……。あんまり無理すんなよ」


 プラズマがサヨの手を取り、傷口に神力を送った。


 「あ、ありがと。おじいちゃんは子供のお仕置きの仕方がわかってないから、全部お尻百叩きになんだよね~。ゼロか百だからね、あのひと。あたしは子供じゃないから、今回はなにされっかなー。ビンタだったらどうしよう、プラズマくん!」


 サヨはわざと潤んだ瞳でプラズマを見た。


 「そりゃ、ないだろ。俺はな、あいつにそれはただの暴力だと言ったんだ。もうやらないさ。そんなことをやるタイプじゃないだろ? あの男は気性の荒さを出さずにあんたらの相手をしているんだ。あの男は立派だよ。親がどんな存在かも知らないのにさ」


 プラズマの言葉にルナが目を伏せた。


 「おじいちゃんって、怖いんだね。本当は……」


 「そんな怖がるなって。ルナのパパみたいなもんだろ? ああ、ママっぽくもあるか。とりあえず、親だ! ルナには優しいじゃないか。大切に思われてるんだ、安心しろ。な?」


 プラズマに言われ、顔を上げたルナは小さく頷いた。


 「で、ワイズはどこに? リカは?」

 プラズマが再びサヨに視線を戻す。


 「ああ、よくわかんないけど、プラズマが出てきたら、驚くくらい素直に消えた」

 サヨの言葉にプラズマは唸った。


 「怪しすぎる。まあ、とりあえず、あんたらは大人しくしてろ。後は俺と冷林がワイズを罪に問う。まあ、相殺される未来がみえるがな。剣王を殺しに行った更夜の罪で。つまり、誰も罰を受けない」


 「そうなるわけね~、やっぱ」

 サヨが頭を抱え、プラズマは冷林に目を向ける。


 「冷林、高天原会議を開く。今回は月と太陽も呼べ。リカが現世にいるようだ。リカも探すぞ」

 プラズマに命じられた冷林は素直に頷き、ツルを呼ぶ。


 「よよい、お呼びかよい!」

 ツルは相変わらず高速で来た。


 「リカを探して高天原まで行ってくれ。駕籠に乗るのは俺と冷林だけだ。……サヨ、ルナを連れて更夜の家に戻って休んでろ。すぐ戻る。怪我をしてるんだ、あんまり動くなよ、更夜が心配する」


 プラズマはサヨにそう言うとすぐに、冷林を連れてツルが引く駕籠へ入っていった。


 「では、よよい!」

 ツルは美しく飛び上がると、宇宙空間に消えていった。


 「プラズマって、本当に頼りになるよね。ルナ、上に立つっていうのはさ、けっこう難しいんだよ。だから、ルナはプラズマみたいになるんだ。……人間時代に皇族だったのわかるわ」


 「んん?」

 ルナはわかっていないようだった。


 「まあ、いいや。じゃあ、帰ろ……」

 サヨが言いかけた時、目の前に海辺の空間が開いた。


 「な、なに?」

 ルナが戸惑いながらサヨを見、サヨは海を見て目を見開いた。


 「ここ……過去で行った海じゃん。な、なんでここで?」

 「……あ……リカが」

 ルナがつぶやき、サヨは眉を寄せる。


 「リカが傷だらけで倒れてる!」

 ルナは過去見か未来見かでリカの状態を見抜き、叫んだ。


 「なんだって! なんでリカがこの中にいるわけ? あたし、現世に送ったんですけどぉ! と、とりあえず、助けに行こう!」


 サヨはそこまで言ってから、少し考えた。これは危険なことなのではないかと。


 この海辺にいたのはスサノオだ。


 「どうしよう」

 「お姉ちゃん、ダメだったら過去戻りで戻ろう!」


 「そんなに多用しちゃダメ! よく考えなきゃ」

 「でも、空間が閉じちゃう!」

 ルナが目の前の空間を指差す。空間は徐々に小さくなっていた。


 「……行こう……」

 サヨは決断をし、ルナと共に空間へと足を踏み入れた。


 「ああー、マナがやられたから一部穴が開いたか。そんで、事情通な方の姉妹が来るってか?」

 静かな海辺に立つスサノオは物語の終わりを感じていた。


 「ようやく終わるな。ちょっと前の俺はまだ、過去の三柱を追い払ってんのかね」

 海原に今までなかった風が吹く。


 「ほら、スサノオがいる……」

 サヨの震える声を聞いたスサノオは深くため息をついた。

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― 新着の感想 ―
[一言] ああよかった!リカの様子も伝わった…… けど、スサノオとまだ一悶着あるのかしら……
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