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巻き戻せ6

 「しかし、失敗したかもしれない」

 サヨはカエルのぬいぐるみを動かし、ワイズの軍配を弾きつつ、考える。


 ……ルナがいないと現代に戻れないし、あたしとリカにエラーが出る……。ルナは最終的に過去戻りして現代に行ければ問題ないはずだけどね。


 サヨはワイズの神力を結界で弾く。重い力だ。サヨもいつまで受け止めきれるかわからない。


 ……リカが……過去から現代に変わるタイミングで『自分が本来いた場所にいればいい』ことに気がつけば……現代に二人いることにならなければ、エラーは出ないはずなんだけど。


 ルナが神力をあの空間に充満させてくれれば、過去にいる意味はないんだし。


 「ただ……」

 サヨはワイズの神力を結界を張って受け止めた。


 「ぐぅ……コイツが逃がしてくれないんだよね……」

 サヨの腕から血が滴る。


 ……一番、エラーが出そうなヤバイ奴はあたしだよね。いまんとこ。

 だって、現代の管轄に時期が動いた時、一番離れた場所にいるからね、あたし。


 「お前を倒してからリカを追う。まだ時間はあるだろうがYO」

 ワイズはさらに神力を高め、サヨに攻撃を仕掛け始めた。


※※


 一方リカは、突然に過去である壱の世界に落とされた。気がつくと、木に引っ掛かっており、身動きが取れない。


 「あ、あれ? ここって現代? ワイズに襲われていたはずだったんだけど」

 リカは青空を見上げつつ、考える。


 「現代かそうじゃないかは、プラズマさんがいるかいないかでわかるはずだよね」


 とりあえず、引っ掛かって動けないため、鶴を呼ぶことにした。


 「ツルさーん!」

 呼び慣れていないため、リカは素直に大きな声で呼んだ。


 「よよい! うるさいよい。デカイ声で呼ぶなよい! 心で呼んでくれよい……」

 ツルはよくわからないが、すぐに来た。


 「あ、ごめんなさい……えっと。おろしてくれますか?」


 「何してんだよい? 遊ぶならもっと安全に遊ぶことをオススメするよい。やつがれはこんな雑用をやるために使いになってるわけじゃないんで」


 初めてツルに叱られた。

 ツルはため息をつきつつ、リカを木から下ろしてくれた。


 「ほんと、なんかごめんなさい……。そ、それより、時神達のお家に帰してください。場所がちょっとわからなくて……」


 「なんか、えーと、あんたはすごくアホってことでいいのかよい?」


 「アホでいいですから! 急いでいるんですよ!」

 戸惑うツルを半分無視したリカは駕籠に乗り込み、ツルを急かした。


 「わかりましたよい。よよい!」

 ツルは困惑しつつ、空へと飛び立った。しばらく青空を飛ぶ。


 リカは窓から下を眺めた。

 よくわからないが、どこかの森の中にいたらしい。


 「……これからどうすればいいんだろう? とりあえず……プラズマさんを確認しにいこう」


 ツルはまっすぐ飛んでいき、徐々にリカが知っている場所に近づいてきていた。


 ツルは家の近くでリカを降ろし、にこやかに去っていった。


 彼はけっこう良い性格なのかもしれない。


 「よし。まずは、時期の確認。……もし、ここが過去で、このまま現代に戻れなかったらどうなるんだろう……」

 リカが不安に思っていた時、飛び去ったはずのツルが家の二階の窓に駕籠をつけていた。


 「……ん?」


 リカは少し考えてから思い出す。壱の世界と時間関係が違う弐にいたからか、時期が早まっているが、ルナがひとりで高天原へ行く場面のようだ。


 「まずい。そろそろ、プラズマさんが封印になる! 追いかけなきゃ! あの駕籠についていこうか。ダメもとで……」


 リカはルナを待っているツルに手を振った。ツルはうんざりした顔でこちらを見たが、意図は伝わったらしい。


 ルナを乗せたツルは飛行しながら、一瞬だけ低空飛行し、道にいたリカをすくった。


 リカのお腹辺りを両手で抱え、飛び去る。


 「言いたいこと、伝わったんですか?」


 「はあ……心でそう言っていたよい……。誰にも見つからないように高天原まで行きゃあいいんだよい? やつがれは神の頼みは断らない」


 「あ、あの……ほんと、すみません……」

 リカは小さな声で申し訳なさそうに言った。


 ツルはリカを抱え、ルナを駕籠に乗せ、何も言わずに高天原へと向かった。

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― 新着の感想 ―
[一言] リカはまた会議の場へ、かぁ。 やっぱり簡単じゃないね。サヨも心配!
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