表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
120/316

リカを守れ1

 更夜は封印世界から出ると、異様な威圧に襲われた。


 「ああ、なるほど……。お前らが高天原の……」

 更夜が会議室内に現れ、ワイズや剣王を睨み付ける。


 「帰って早々、生意気だな、望月更夜……」

 ワイズは腕を組み、更夜に笑いかけた。剣王は更夜を品定めするように眺めつつ、言う。


 「しかし、白金栄次同様、そそるねぇ……。まだ四百歳と若い神だが、それがしの軍に入れたいくらいだ。君、かなり強そうだねぇ。栄次よりも躊躇いがなく、様々な武器が使えそうだ」


 「……どうでもいい。ルナはどこだ?」

 更夜は怒りを抑えつつ、剣王を見据えた。


 「ああ、あのガキはそこでうずくまってるYO。ちゃんと罰を受けた、素直なガキだったYO。


 責任を取りに来たらしくて、紅雷王が消えてから、自分に罰を与えてくれと泣きながら言ってきたんで、とりあえず振り向いたら、あんな感じ。大丈夫、生きてるからNE。意識が飛んだだけさ」


 会議室の机付近で血を流して倒れているルナが見えた。


 「ルナ……」

 更夜は小さくルナを呼び、震えながらルナを抱き抱えた。


 「なぜ……」

 更夜の腕にルナの血がつたう。


 「お前ら、ルナをここまで傷つける意味はあったのか……」

 更夜は怒りを静かにあらわにし、無意識に神力を放出させた。


 「罰は終わった。そいつは連れ帰っていいYO。他に言うこともなし」

 ワイズは更夜の質問には答えず、淡々と更夜に言う。


 更夜はワイズの発言に青筋をたてると、荒々しく言い放った。


 「プラズマが罰を受けたはずだ! この子が責任を取ると言ったとしても、止まるべきだったんじゃねぇのか! 五歳の子供の言葉を真に受けてんじゃねぇぞ……。てめぇら……」


 「五歳だとしても神だろが。神はな、人間じゃねぇんだYO」

 更夜の鋭い神力に対し、ワイズも同様な神力を出す。

挿絵(By みてみん)

 「気を失わせ、体を切り刻んだ理由はなんだ。ルナが何かを話さないよう、口止めしたのか?」

 「さあ? 私は普通にルナを見ただけだが?」

 ワイズはあきらかに神力をぶつけ、ルナを傷つけているが、ワイズはそれを言わない。


 「周りの奴らは見ていたのか? どうなんだ?」

 更夜が残りの竜宮オーナーと冷林をタカのような瞳で見据える。


 そこでようやくオーナー天津が口を開いた。


 「そこの娘は……責任を取りたいとなぜか、ワイズに泣きついた。故、ワイズが娘の罰を終わらせるため、気を失わせたのだ。それだけだ。私はこれで失礼する。望月更夜、望月ルナを大切に」


 オーナーはそれだけ言うと、一同に頭を下げ、ドアを開けて出ていった。


 「なんも言えなくなったねぇ、望月更夜。そのお嬢ちゃんは責任を理解していない。危ういねぇ」

 剣王はにやつきながら更夜を見る。


 「理解していないことをわかった上でやったのか! てめぇら……許さねぇ……」

 更夜が怒りを抑えられなくなった時、会議室に栄次が入ってきた。栄次は更夜の前に入り、更夜をなだめる。

挿絵(By みてみん)

 「栄次! なぜ、ここに?」

 「ルナを追いかけたのだ。更夜、退け!」

 栄次の目を見た更夜は、栄次が過去見をしたことに気がついた。


 「……」

 更夜はルナを抱えると、ワイズと剣王を睨み付け、栄次に従い、会議室を出た。


 「鶴を呼んでおいたYO。寄り道せず、お帰りを~」

 ワイズの陽気な声に更夜は顔を真っ赤にし、歯を食い縛り、悔しさで涙を流した。


 「更夜さん……」

 「更夜……」

 会議室の外で待っていたリカとアヤは更夜の状態を心配そうに見つめていた。


 「ルナを傷つけられた……。俺が大切に育てた娘をこんな……」

 「更夜、とりあえず、ルナを治療しましょう。駕籠の中で私が怪我の時間を巻き戻すわ」

 アヤに背中をさすられ、更夜は唇を噛み締めながら、会議室を離れた。


 栄次は更夜の様子を見つつ、ルナの過去を覗いていた。酷い目に遭うルナが泣き叫ぶ姿、苦しそうなプラズマが映り、心が痛んだが、プラズマが発した一言に栄次は眉を寄せる。


 ……栄次に慰めてもらうんだ……。


 プラズマはルナにそう言っていた。


 ……なるほど。


 栄次は納得する。


 プラズマは……俺に『ルナの過去を覗かせるため』こう言った。


 堂々とルナに言えなかった内容。つまり、ワイズと剣王は『何かの目的でプラズマを封印罰にするために、ルナを人質として使った』。


 それを暴いて自分を救えとプラズマは言っているのだ。


 そのためには、ルナが落ち着いてからもう一度、『過去見』をする必要がありそうだ。


 『過去見』に映ったワイズと剣王をさらに分析するために。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] プラズマの伝言がちゃんと栄次に届いてる!さすが。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ