すれ違う二人2
ルナはだんだんと力の使い方がわからなくなっていた。
なかなか制御ができない。
たまに、感情の高ぶりで勝手に発動する。
ルナの感情が不安定になり、神力が半分暴走していただけだが、ルナがそれを知るはずもない。
ルナは更夜の前で正座させられていた。場所はお仕置き部屋だ。
嘘をついてばかりだったルナは更夜に泣いて言い訳をしても信じてもらえない。
もう、あれから何度もこの部屋に入れられている。
更夜は日に日に厳しくなり、ルナに優しくしてくれなくなった。
常に厳しくルナを管理している。
「ルナ、何度目だ」
「ちがう! ルナは知らない! 力が勝手にやったの!」
ルナは必死で更夜に叫ぶが、更夜は優しい顔はしてくれなかった。
「嘘ばかりつくのはなぜだ!」
更夜はルナの肩を乱暴に掴み、揺する。更夜にいままでこんな乱暴にされたことがないルナは悲しくなり、泣いた。
「なんでわからないの! お姉ちゃんのカエル消しゴムはなんとなく持っただけ!」
「いい加減にしろ! 叱っているのは俺だ! 言葉を直せ!」
更夜はいつもより強くルナの手を叩いた。
「痛いぃ!」
「言ってわからんやつは叩くしかないだろう」
「うぇぇぇん! 今回は勝手に時間停止が出たのー!」
ルナは大泣きし、更夜はルナに毎回厳しいお仕置きをする。
ルナはだんだん気持ちが曲がっていった。
「同じことの繰り返しだな」
「ちが……ちがうの」
「ああ、サヨ達に夕飯を作る時間だ」
更夜は部屋の電気を消すと立ち上がった。
「ま、待って! おじいちゃん! ルナ反省したからだっこして! おじいちゃん、置いていかないで!」
「何度目だ! 時間を停止させ、サヨの物をとり、スズのせいにする」
「それをやろうとしてやったのは一回だけだったの!」
ルナは泣きながら更夜にすがるが更夜はルナを振り払うと、厳しく言った。
「お仕置きはサヨ達の夕飯の後だ。お前はそこで正座していろ。夕飯は抜きだ」
「そんな……」
障子扉は乱暴に閉められた。
暗い部屋の中、ルナの嗚咽が静かに響く。
「ルナのごはんないんだ。皆でごはん食べ終わって遊ぶ時間にルナは、おしりをいっぱい叩かれるんだね。わかったよ。……おじいちゃんはルナが嫌いなんだ」
ルナは悲しくなった。
……あっちのルナはお父さん、お母さんがいて、とても幸せそうだった。
ルナは涙をこぼしながら、素直に正座をし、更夜が来るのを暗い部屋でただ、待っていた。
涙を流すルナの瞳に再び電子数字が流れる。
「かこ、みらい、異世界を見る能力? ルナは……時神の上に立つ……神? そうなんだ。ルナ、おじいちゃんより偉いんだ」
ルナは軽く微笑む。
更夜への反抗心が明確に芽生えた。