表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/43

拝啓、神々。俺のチート能力ってなんでしたっけ?

「くはは!我が❬魔君主❭と呼ばれる由縁!見せてやろう!」

俺達よりも早く先手を打ったのは相手のほうだった。

「何が来るか分からない、神崎気をつけろ!」

「ああ、分かってる!」

「結界魔法《魔、魅せる常闇の君主(ダークネス・ロード)》!」

 その瞬間、俺達の周囲一体が荒れ果てたなにもない淋しい荒野から……


星が眩しく輝く夜空の元にある豪華な装飾が施された宮殿へと変貌を遂げた。


「な、なんだここ……?」

神崎が困惑している。

「ははは!そう呆けるでない!これこそ我が❬魔君主❭たる由縁の一つ、結界魔法よ!」

(結界魔法?転移魔法とは違うのか。一体どんな力が秘められているんだ……?)

と、俺が冷静に思考を続けている暇もなく魔族……もといガゼルが攻撃を仕掛けてくる。

「ほら、呆ける暇はないぞ!常人!《ダーティ・バレット》!」

(《ダーティ・バレット》?たしか精神汚染の呪いが付与された強力な魔法だったような?だけど単発しか放てなかったはず。なんで俺と神崎の2人に放つ?)

この時。俺は完全に油断していた。気付いていなかった。そう、ここが


相手が最も有利に戦える場所、いや人形達(俺達)を弄ぶための遊戯場(結界内)だった事に。


単発のはずの《ダーティ・バレット》が何発も、何発も、数えられない数、しかも全方向から俺達に向かってくる。

(これが結界魔法の効果!?さすがに……これは捌けないな……!能力を使うしかないか?)

俺が腰につけている12枚のカードが入っているポーチに手を近づけ神様との約束を破りそうになった時

「秤、俺に任せてくれ」

と、神崎が言った。そして、剣を振りかぶりそこで止める。

「いくぞ……!❬星帝剣エクスブレイク❭!我が(ことづ)けに応えろ!」

神崎が詠唱を始め、神崎の剣が聖なる光を放ち輝き始める。


「『星の(みかど)よ。


(よこしま)なる者、


魔なる者、


罪なる者、


全ての悪を断罪、断絶せよ』

星帝断罪(エクスブレイク)》!!!」


……神崎の剣、❬星帝剣エクスブレイク❭はただの聖剣とは異なる特異な点がいくつかあるという。その一つが今神崎が行った『(ことづけ)』らしい。『託』はエクスブレイクの使用者が求めている能力を詠唱にして唱える事で求めている力が付与された斬撃を放てるという。その神器❬星帝剣エクスブレイク❭を神器たらしめている能力の一端がたった今、俺の目の前に顕現したのだった。


 神崎が輝きが最高点に達した《星帝剣エクスブレイク》をおもいっきり振り下ろした、その刹那。俺達に迫っていた無数の穢れた魔術弾は正義に断罪される悪の如く消滅した。

「……なんだと?」

今まで余裕を持っていた❬魔君主❭もこれは意外だったようで素直に感心したような表情を作っている。

「くはは!いいぞ!もっとやれ!我の予想を上回れ!こんな楽しい戦いは❬法王❭以来だ!」

(❬法王❭だと?こいつ常人族の王と戦った事があるのか?)

❬法王❭についての情報はできるかぎり欲しい。いずれ面会せざるを得ない相手だ。戦闘スタイルでもなんでもいい。争いをやめる交渉のカードが欲しい……。

「神崎。なんとしてもこいつは倒すぞ。ああ、殺さないよう気をつけてくれ。相手から聞きたい事があるんだ」

「そりゃ倒さないと逃げれないしな。まあ、元々逃げる気なんてないんだけどな?」

「よし、じゃあお前はいつでもさっきの《星帝断罪(エクスブレイク)》を放てるように準備しておいてくれ。それまでお前は直接あいつに攻撃は仕掛けなくていい。攻撃は俺が受け持つ」

「OK。お前が相手の魔法に囲まれたら消せばいいんだな?」

「話が早くて助かるよ。じゃあ……いくぞ!」

本気で床を蹴る。この1ヶ月間で俺の身体能力はもはや人間の域を出ていた。そのため、一瞬で相手との距離が消滅した。相手の表情が笑みから驚愕へと変わる。


……この時。俺は大きな誤算をしていた。しかもいくつも。

 まず一つ目は自分の身体能力が思っていた以上に上がっていた事。さっきの下級魔族との戦闘では手を抜いていたので俺は自分の本気の身体能力を把握できていなかった。

 二つ目は先程の下級魔族との戦闘で俺の剣技がさらに上達していた事。それもそうだ。魔族の軍勢を俺は神崎とほとんど倒してしまったのだ。迫り来る魔法を断ち切りながら相手を観察し斬撃を喰らわせる。それを何百体もの魔族に囲まれた中やってのけたのだ。そりゃ嫌でも動きが変わる。

 三つ目は、❬魔君主❭が俺達をかなり侮って慢心していて隙だらけだった事。

 そして、最後。俺が使う神器❬聖銀の双剣❭があらゆる種族に対して強力な力を発揮できた事。

……この誤算があったため俺は……


❬魔君主❭の身体を綺麗に真っ二つに断ち切ってしまった。相手の防御できない場所に相手の防御できないタイミングで。


「「あ。」」


俺と神崎の声が重なる。

真っ二つになった❬魔君主❭を見ると、もう息絶えていた。

(……やっちまった!マジかよ……)


……拝啓、神様。俺のチート能力って双剣を扱う技術でしたっけ?違いますよね?……どうやら貴方達は俺を強化しすぎたみたいですよ?














評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ