ラビィと戦ってみよう
いやー、まさかまた書くとは思ってなかった。
書きたいシーンはたまってきたものの、物語の動かし方が分かりませんね。
これは自動投稿にしとくのでもしかしたらストックができてるかも?未来の自分に期待です
私たちはハウトと一緒にクストの村に向かうことになった。
クストの村は、ベグニの街から北に真っ直ぐ向かったところにある。そこで大量発生している「マカキル」という猿のモンスターをやっつけるまでがチュートリアルみたいなものだ。
クストの村はいわゆる農村で、ベグニの街程大きくない。「村」とう名からも想像できるがまじで村なのだ。木造建築の平屋しかない。お店としても道具屋くらいしかなく、畑でとれる農作物しか売っていない。
ついでにお店について説明しておくと、大体の街には道具屋、防具屋、鍛冶屋がある。道具屋はその名の通り道具を売っている。主に消耗品がある。体力を回復する薬草だったり、魔力を回復する飲み薬だったりだ。で、次に防具屋。これもその名の通り防具を売っている。身を守るための鎧や盾、貴重なものだと素早く動けるようになるブーツまで売ってたりする。そして最後に鍛冶屋だ。鍛冶屋では武器が売っているだけでなく、今持っている武器や防具を強化してもらえる。
んで、このクストの村には農作物しか置いてないから装備を整えたりできないわけだ。まぁチュートリアルの村で装備を整える必要もないけどね。
「ここから村までってどれくらい時間がかかんですか?」
「そうだね、このまま歩いて三十分くらいってところですね。」
「お、意外と近いんだな」
ゲームの中だと3分くらいで移動しきれる距離だったから大体十倍くらいの尺度なのかな。もうちょっとベグニで観察してくればよかった。
なんてことを考えながら歩いていると、少し道を外れたところに緑のうさぎが見えた。
「お、あんなところにラビィがいる」
私がそう呟くと、
「じゃあ折角なので戦闘の練習として戦っておきますか?」
「お、いいね、やってみようぜ」
「いいと思います」
と戦闘訓練が始まることになった。
ゲームのときはクストの村でモンキッキを倒すまでは特に戦闘はなかったので、ここでも若干の差があることになる。この調子でずれていくとかなり大変なことになりそうな気がする。
私たちはラビィに向かって移動した。ある程度近づいたら川田君がハウトにもう攻撃をしていいか確認をして腰から短剣を外し、ラビィにとびかかった。ラビィも川田君に気が付いたらしく、攻撃態勢を整えた。川田君が剣を適当に振り回すとラビィに何発かあたり、そのままラビィは動かなくなった。
「お、無事に倒せたようですね。よかったです」
「まぁ短剣を振り回しただけだけどな。意外と何とかなりそうな気がしてきたぜ、楽しいな、これ」
「あんまり調子に乗るとすぐケガしちゃうでしょうに……」
とか言いつつも、今の戦闘を見た感じ全く心配はなさそうだった。相手がラビィっていうのもありそうだけど、さすがは運動部といったところか。動きに切れがあり、そこそこの相手なら何とかできそうだった。こういうとこだけセンスがあるのも少し腹が立つ。
ふと倒したラビィのほうを見ると、体から青白い光が上がり始め、ラビィの死骸の色がだんだんと薄くなっていき、最終的には消えてしまった。そして、その場所には小さな麻袋が落ちている。
「お、ドロップアイテムかな?」
いざ目の前のモンスターがアイテムを落とすとなるとゲームの時より感動した。ただ機械的に周回するときと違って実際にモノが落ちるっていいのね。
「あれは触っても大丈夫なやつですか?」
「えぇ、大丈夫です。」
「中身は何だろうな! 楽しみだ!」
ゲーム内のラビィのドロップアイテムは回復草か、毛皮なので袋のサイズ的に回復草かなとか考えていた。しかし、実際に出てきたのものは違った。
「お、これは……骨付き肉でいいのかな?」
「そんなところでしょう、ここで食料が手に入ったのは幸先いいですね。せっかくなので練習を兼ねてもう少しこの辺を散策してみましょうか」
なんとお肉が出てきた。うさぎのお肉である。ここではっと気づかされたが、実際にゲームに入るとなるともちろんお腹もすく。そこで食料がないと困るわけだ。ゲームのキャラは空腹を感じたりしないので、そこのところを失念していた。RPGを進めていたらいきなりキャラのおなかがすいて食事が始まったりしたらたまったもんじゃないしね。そう考えると、またやることが増えた。適度にモンスターを倒しつつ、食糧も稼がなくちゃならない。かなり進行速度は遅くなる。
「ところでナナさんはよくあの距離でラビィを見つけられましたね。なかなか見つけにくいんですけどね」
そういわれて私はまたハッとした。
私はそもそもそこまで目がいいわけではない。普段はコンタクトを付けているが、それでも、だ。
「何でですかね……なんとなく? で見つかりました。なんか動いてるものがあるな程度に。」
「なんとなくで見つかれば困らないんですけどね……。まぁ確かに見通しの良いところで動いてるものがあれば見つけやすいですもんね。変なこと聞いちゃいました。」
そう言ってハウトは特に気にした様子もなく、勝手に納得している。ただ私としても少し気になるのがこのゲームの世界に入ってから、なんというか体の調子がいい。草原をそこそこ歩いているにもかかわらずそこまで疲労を感じていない。まぁゲームの世界だからかなとか最初は考えていたが、お腹が空く以上体は疲れてもおかしくないはずなのだ。さらに冷静に考えると男二人を吹っ飛ばせたのも何か関連がありそうな気がする。
なんてことを考えながら草原をふらふらしているとまたラビィに出くわした。
「今度はナナさんが戦ってみる番ですね、けがをしないように気を付けてください。」
「わかりました」
そう言って私は、腰についている短剣を外し、身構えた。身構えたと言っても何か武道の経験があるわけでもなく、なんとなく前に出しただけだった。しかし、自然と四肢の力が程よく抜け、とてもリラックスした状態になった。不思議だななんて考えながらも、ここで連続切りとかできれば瞬殺なんだろうな、なんてことを考える。すると体が自然に動き始めたのだ。滑らかにラビィに近づいていき、ラビィを一撃で仕留めた。
「え!?」
驚きのあまり、私は声を漏らした。
「おっ、奈々ちゃんやるぅ、かっけぇ!!」
川田君が隣で盛り上がっている。やっぱりうるさい。
「なるほど……。ナナさんはハンターだったのですね。だから索敵能力にも優れていたと」
ハウトがそう呟いた。
ハンター、これは七色の橋のゲーム内にもある職業で、モンスターを呼び寄せる技を使ったり、逆にモンスターに襲われないようにする技も使える。ある種のサポート職業である。低攻撃力の連続攻撃もでき、散策には役に立つ。そんな職業だ。
「私ってハンターだったんだ……。すごい……」
ゲームの中では一応すべての職業のレベルは最大にしてあった。どの職業がどういうことができる、なんていうのも全部頭に入っている。実際にフィールド歩き回って冒険を進める。そういう観点からいうと職業がハンターなのはそこそこの当たりな気がする。
「となるとナナさんの戦闘訓練はそこまでいらないかもしれませんね。ユウキさんが慣れるまでもうしばらくこの辺で過ごしましょう。にしてもまさか、ナナさんの方が強いとは。まるで保護者ですね」
「何で私がこんな奴の保護者になるんですか……」
なんてことを言いながら、私たちはそこでしばらくラビィと戦闘訓練を続けたのだった。
果たして続きはかけるのか……こうご期待!!