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元魔王の転生勇者は魔界の者を倒せない  作者: 浮幽精
第一章 初めての出会い
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「7話」仲間たちの集い

ちょっと間開きましてすみませんm(_ _)m

「パール……か、いい名前だな」


「はい! これからはパールって呼んでくれていいんですよ?」


シャマルは、微笑みかけるパールに言葉を返す。


「そうだな……じゃあ、これからは……」


と、ここまで口に出してシャマルは気付く。

が、そのほんの少し前にパールがニヤリと笑って、半ば強引に提案する。


「一緒に冒険しましょう!」


「ダメだ! 国に連れて帰る!」


やや食い気味に拒否するシャマル。

シャマルは、悔しそうな顔のパールが二の句を次ぐより先に答えた。


「これからの冒険は危険なんだ! お前みたいな女の子じゃ……」


「足でまとい……ですか」


パールの、見るからに肩を落とす姿に、少し悲しくなるシャマル。

だが、これでいい。こうじゃなければならない。


「あぁ……悪いがここまでだ」


パールは、唇を噛み締め、握った拳は、力強く爪の跡を掌に付けていく。


「でも、勇者様だって見ましたよね! 私がヴェルフを追い払った所!」


「それで倒れたら意味が無いだろ!」


どんなに必死の形相で、パールが訴えたとしても

シャマルはそれを通さない。許さない。

ここで、彼女の冒険は止める。

そう、胸に決めた。


「私は……!」


「はいはい、うるせーぞお前ら」


押し問答を繰り返す二人の話を、遮ったのは空気の読めない男。

だが、事ここに関しては、ファインプレー。決死の遮りである。


「言っとくが、嬢ちゃんは怪我人なんだ。これ以上こんな事してたらいつか死んじまうよ」


「そうだぞ、だから街に帰るんだ!」


この流れに便乗するシャマル。


「でも……私は勇者様の相棒になりたいんです! それだけが、私の夢なんです!」


パールの放つ凄まじい気迫。

ここだけを見たのであれば、この年の少女のそれではない。

この時の気迫だけなら、魔王時代のシャマルにも匹敵するほどの凄み。

そんな力が、この少女の言葉には詰まっている。


「なんでそんなに俺の相棒に拘るんだ? 冒険がしたいんなら他の人とパーティでも組んで……」


シャマルが言い終えるよりも先に、パールが答える。


「それじゃ嫌なんです! 私は、魔物から街のみんなを守る先代の勇者様を見て、いつか勇者様の相棒になりたいって思ったんです! それから10年、ずっとそれだけを考えてきました……! だから……!」


「お願いします……! 私を相棒にしてください!」


パールは、目に涙を浮かべて、とても深く、深く、頭を下げている。

こんなに幼い少女が、深々と。


シャマルは悩む、それは身を焦がすほどの思い。


どうしたらいい?シャマルの思いは揺らいでいた。


俺がこの子の歳の時、こんな決意を持った目をしていただろうか。

俺だったら、ただの憧れの相手に、こんなにも美しく頭を下げられただろうか。


深い。底知れない。

生まれた時から魔界の王だったシャマルには、到底及ばない考え。


だけど。だからこそ。

未来のある少女だからこそ。


「残念だが、俺には回復魔法もない。お前を絶対に助けられる保証もない。だからーーーーーーーー」


と、シャマルが言い放った。その瞬間

聞こえる。男の声。

響く。その言葉。

二人を繋いでいた、か細い、か細い糸を、繋ぎ止める。


その救いの手。


「なんだ、そんな事か?だったら俺を連れてきゃいいじゃねぇか。俺はこう見えてもそこそこの回復魔法使いだぜ?」


「え?」


「は?」


シャマルも、パールも、あまりの驚きに言葉が出ない。

たった一文字、それを絞り出すので精一杯。

とても間抜けそうな顔で、その男の顔を見つめている。



「なんだよその顔、で、どうすんだよ?」


確かに。

この男は、ものの数時間の治療で

普通ならば死に至る程のパールの傷を癒したのだ。

この男とならーーーーーーーーあるいは。


「……分かったよ」


「勇者様……! それじゃ……!」


「ああ、但し今日みたいな無茶をしたらすぐに連れて帰るからな」


「ありがとうございます!」


出会って1日も経っていない内に、3人で旅をする事が決まってしまった。

シャマル達は、これからどんな旅をしていくのだろうか



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