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元魔王の転生勇者は魔界の者を倒せない  作者: 浮幽精
第一章 初めての出会い
3/14

「2話」そして勇者は誓いを

ちょい短いです

その日、魔界の王(元)が人類の英雄である「勇者」になった。


その張本人、元魔王で現勇者の少年シャマルが、勇者になると宣言した日の翌日、正式にこの国の勇者誕生の儀式が行われた。


国中のほぼ全ての国民が城の周りに集まり、約10年ぶりの勇者の誕生を固唾を飲んで見守る。


すると城の大きな扉が開き、中から銀色に輝く鎧を纏った騎士達が、一糸乱れぬ行進を見せる。

騎士達は二手に分かれ、次にくる人物を守るかのように、道の両脇を固めると

その騎士達の少し後ろからこの国の王であるロール・ザッカートが国民の前へ現れた。


国王の登場に

沸き起こる歓声、沸き立つ国民

地鳴りのように響き渡るその声は、この世界における勇者の誕生、その言葉の持つ重さを知らしめる。


もちろんシャマル自身も、こんな歓声を聞くまでもなく、勇者という職の重要さは理解している。

だからこそ勇者になると決めたのだから。


そんな地鳴りを掻き消すほどのロールの声が、国中に響く。

「今日ここに!この国の15代目となる勇者が誕生する!」

ロールの言葉が、その儀式の始まりを告げた。

更に沸く国民、更に広がる興奮、更に響く歓声。


その全ての源である勇者が、ロールの合図で城の中から現れ、姿を見せる。

黒い髪に赤い瞳、そして若々しいながらも勇者の風格を持つその少年は、国民を熱狂の渦へ巻き込んでいく。


「皆の者!この者がこの国の新しい勇者! シャマル・ダーライトだ!」

ロールが、新たな勇者の紹介とともに、夕陽のように赤く輝く宝石と、金色の光を放つ剣を掲げる。

「これは、この国に伝わる勇者の証、そして伝説の剣だ」

要するに、勇者の証は、勇者であることの証明。常に身に付けておけ。とまぁそういう事だと、シャマルは察する。

「勇者 シャマルよ!お主はこれを手にしたその瞬間から、この世界を救う英雄となる!その覚悟が出来たなら、受け取るがいい!」

そう言うと、ロールはシャマルの瞳を見つめた。


シャマルは、向かい合ったロールの前へ

一歩。

二歩。

三歩。

歩みを進める。


心構えなどとうの昔に出来ている。

魔物も。人間も。全ての命を救う。

それが、魔王であり勇者である俺の存在意義。

シャマルは、ロールの目を、更に強い眼力で見つめ返す。


シャマルは、迷う事なくロールの腕から宝石と剣を受け取ると

勇者の証を心臓の位置、鎧の左胸へ取り付ける。

そして、受け取ったばかりの剣を天へと掲げて、この世界との誓い結ぶ。


「俺が、今日からこの世界の勇者だ!この世界にある全ての生命は俺が守る! 俺が命を落とすのは、全ての命を守ってから!この世界には無用な犠牲は払わせないと誓おう!」


今まで、彼の言葉に耳を傾けていた国民達は

本当に世界が揺れる程に沸き立つ。

拍手も。喝采も。

この時だけは、全ての熱がその少年へと注がれていた。

その地鳴りは シャマルが城の中に戻ってもなお、鳴り止むことはなかった。


その日の昼過ぎ、シャマルはこの国を出発する。

勇者の旅が始まるのだ。


ロールが、勇者となったシャマルに声をかける。

「お主は、世界の希望じゃ。この国の人々も、お主に期待しておる。頼んだぞ、シャマル。」

シャマルは、ロールの言葉に「ああ、任せろ」と答え、この国に背を向ける。

たくさんの国民と歓声に見送られながら

その胸には赤い宝石が身につけられており

腰には金色の剣が付けられている。


国を出て約15分、もう国民の姿など全く見えない所まで歩いてきた。

魔物が出るその草原には、普通の人間は居ないのだから当然といえば当然なのだが。


そんなことを考えていると、直後、人が居ないはずの背後から声が飛ぶ。

「勇者様!私を相棒にしてください!」

そこには、妖精のように美しい白い髪の少女が立っていた。


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