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「12話」畑の戦い

パールの誘導でロンガー商会の畑に着いた3人

馬鹿サイラスのせいで予定より遅れてしまった。

シャマルは、畑の隣に建っている小屋の扉を二度叩いた。


「すみませ〜ん、勇者です」


三秒ほど置いて、小屋の中から返事が返ってきた。


「少しお待ちください」


その言葉の後、少しドタバタと音がなり小屋のドアが開いた。


「いやぁ、すみません突然なもんで驚いてしまって、立ち話もなんですからどうぞお入りください」

中から出てきたのは中年の男、優しそうな口調で三人を中に誘導する。


「そこに座っててください、すぐにお茶出しますから」

と男に言われ、テーブルを囲んだ三つの椅子に三人は腰を掛けた。

「思ったより怖い人じゃなかったな」

「そうですね」


三人共、怖い人を想像していたからか一気に力が抜ける。


「お待たせしました〜……ってなんですかその顔! 顔面スライムじゃないですか!」

「なんだその例えは!」


シャマルは、つっこむ時は誰にでもタメ口だ。

魔王時代のシャマルは、歳上の部下に敬語を使っていて、その部下から普段敬語を使うのが意味わからないと言われたこともあった。

その代わりに、つっこむ時はタメ口を使おうと決めていた。


「まあそれは置いといて、今回は何の話でしょうか?」

「はい、こちらの畑が魔物に荒らされて困っているらしいと聞きましたので、追い払いに来させて頂きました」

「それはありがたい! 最近困ってたんですよ」

「その代わりと言っては何なんですけれども……私共旅の途中の食事に困っておりましてですね……」

「なるほど、食事に関する支援をしてほしいという訳ですか」

「そういう事ですね。どうでしょうか」


男は少し悩む素振りを見せて答えた。

「……分かりました。魔物を追い払って頂けた暁には我々ロンダー商会が食事の支援をさせて頂きましょう」

「ありがとうございます! 必ず追い払って見せますので、それまでは水やり等以外では、出来るだけ畑に近づかないようにしてください」

「それは有難いんですけれども……」

「はい?」


男は遠慮がちに呟く。

「魚の匂いが……」

「え? あっ! ごめんなさい」

「なんでまだ持ってんだよお前!」

「早く捨ててくださいよ!」

「だって愛着湧いちゃって……」


「「「知らねーよ!」」」


すぐに話を取り付けた三人。

その日から三人は、畑の周りを張り込み始めた。

夜は小屋に泊まり(魚とシャマルは外で)

だけど何日経っても魔物は現れなかった。

来ないなら来ないで商会の人間的には悪く無いのだが、シャマル達の手柄にならないと旅の食事の都合がつかない。

一週間経っても現れなかった事を受けて、商会はシャマル達を一旦帰らせた。

この辺りで臭い魚は流石に腐りすぎたので、魚屋のおばさんに取り替えてもらった。


だがここで大変な事が起きた。

また魔物達が現れたのだ。

その報告を受けてまた三人は畑に戻って張り込んだが、戻ってからは1匹も現れなかった。


「なんで俺達が戻ったら出なくなるんだよ」

「分かりません、だけど人為的な物なのかも」


何週間にも及ぶ張り込みに三人の心は疲れていった。

何度も何度も、帰っては戻り帰っては戻り。

やはり帰ったら魔物が出るようになり、戻ったら出なくなった。


「何でなんだよ!」


三人の苛立ちがピークに達した張り込みの日。

ある変化が起きた。なんと魔物が現れたのだ。

シャマルとパールは目を輝かせて喜び、サイラスは目を見開いて驚いた。


「来た! 行くぞ!」


シャマル達は魔物達の所へ走って行った。が、魔物の反応が早く、そのまま逃げていった。


「あ! 俺の手柄が消えた!」

「魔物ですよ! 手柄って呼ばない!」


シャマルは、ここ数日で魔物=手柄の方程式を作りあげていた。

そんなシャマルの腕には、剣ではなく魚が握られていた。

ちょっと進んだ。今回はボケ少なめです。

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