「9話」思考のシンクロ率
ギャグになっちゃってる感がやばいけど、ちょっと楽しい。
「では、会議を始める」
シャマルは、深刻な表情で話を切り出した。
その言葉に他の二人は静かに頷く。
「本日の議題は『食料の確保』」
こうして、食事会議が始まった。
全員が少しずつ意見を出していく。
まず提案をしたのはパールだった。
「えっと、シャマル様の勇者の証を見せてその権力で……」
「それはダメだろ! 」
とても危ない発言。そして流れるようなツッコミ。
パールの本当に恐ろしい所は、実はちょっと本気で言っていた所にあるのだが、当然シャマルは気付かない。
「じゃあ、こんなのはどうだ?」
「はいサイラス」
「恐喝」
「却下だし、ほぼパールのと一緒だぞ?」
サイラスはオリジナリティによる減点。
その後も一同は意見を出し続けた。
「人から盗むのはどうだ?」
「お前には犯罪以外の考えってないのか?」
「栽培するとかどうですか?」
「いや何年かかるか分からないだろ」
「まぁ人間も肉といえば肉だしな……」
「仮にも勇者の仲間が言うセリフじゃねぇだろ!」
こんな感じで会議は進んだ。
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結局その日の会議は保留になった勇者御一行、その日も街を見て回る。
比較的商売が盛んな街ということもあって旅人達が多く、その旅人達に聞き込みをする。
食料確保の足がかりになれば、と思っての事だ。
「最近事件とか困ってる事があるって人を知らないか?」
「そういえば最近街の畑に魔物がよく出るせいで、野菜が取れねぇらしいぞ」
「本当か! それは誰の畑だ?」
「えっと……確かどっかの商会の奴らだったと思うよ」
「そうか、ありがとな」
シャマルは、あまりに食べ物に直結しそうな話を聞いて思わず顔が緩む。
「じゃあ、方針は決まったな! その商会の奴らの畑から魔物を追い払って、その恩で野菜を提供してもらおう! 異議はあるか?」
「異議ありません!」
「異議なーし」
犯罪じゃないというだけで、考え方は三人ともほぼ同じだ。
だが、シャマルはこの作戦にそこそこの自信があった。
魔物の事ならほとんど知っているし、追い払うだけなら多分いけるだろうと。
方針が固まった一行は、ひとまずサイラスの家に泊まって、次の日からその商会について情報収集をする事にした。




