目覚めと大妖怪
字数が少ないけど、新人だから許してください。
意識が浮上する。
そのまま目を開けると、そこには…
黒い何か。
驚いて身じろぎをすると、その何かも動いた。
あ、これ自分か。
そう認識したら、神という名の管理人に転生させられたのを思い出した。
どうやら黒い猫又のようだ。
いい仕事をするではないか。
どうやらここは森の中らしい。
自分がいるところは少し広場のようになっている。
「(ステータス)」
名前:
種族:猫又(妖怪)
スキル:【異世界言語理解】
【幻術】
【威圧】
【時空属性】
【火属性】
称号:【天才】
【記憶王】
名前無いな。
設定も出来ないようだ。
【天才】
全てのスキルを取得できる。
【記憶王】
全ての事柄を覚えやすく忘れにくい。
どうやら良いものをもらったようだ。
「____!__っ!」
ん、人の声?何やら叫んでいる。
足音からして4人くらいだろうか。
ここに近づいている。
何だか嫌な予感がする。
深い茂みに隠れると、すぐにそれは現れた。
息を殺して様子を見る。
「っくそ、お前が騒ぐからどっか逃げたじゃねーか!」
「お前は少し静かにできんのか。イカム。」
イカムと呼ばれた青年が激昂する。
「はぁ?!俺がうるさいのは誰のせいだと思ってんだよっ!」
苦労人っぽいな。
「まぁまぁ、落ち着け。イカムもアルラも。」
穏やかな声が制する。
「…いや、元はお前のせいだから。」
イカムが突っ込む。
「俺は落ち着いてるぞ、アルト。」
「そう?」
「…そんな事より、妖怪を探すべき。」
女の声だ。静かと言うよりは、冷酷な声だ。
「そうだったな。少しおふざけが過ぎた。」
「ここら辺で妖怪が発生した気がするんだけどなー。遠くには行ってないと思うんだけど。」
「早いとこ見つけてさっさと帰るぞ。発生したばっかならいうことを聞きやすいからな。」
「壁にはぴったりだよねー。」
…壁。
つまり肉壁のことだろう。
隠れて正解だったな。
「…ここらには居なさそうだな。少し遠くを探してみよう。」
足音が近づいてくる。
え、まじか。どうしよう。
…不意に、ガサリと音がした。
それは、自分の方ではなく、広場を挟んで反対側の方で聞こえた。
「っ!そこにいた…か…?」
「…おいおい、まじかよ…!」
現れたのは、非常に大きな猫。
人間くらいだろうか?
漆黒の毛並みに、爛々と輝く真っ赤な目。尾が2本以上ある。
その猫が放つ威圧感が、とても怒っていることを表している。
どこまでも冷たいそれが、人間の行動を阻害していた。
「…ぁ、」
女が、恐怖に負けたように声を発する。
瞬間、音も無く女の頭が落ちた。
「あ、うわああああぁっ!!」
人間が走り出す。
が、首を落とされる。
残り2つも落としてしまうと、その猫は今度はこちらに近づいた。
「怪我は…無いようだな。」
「うぇ?」
しまった、変な声が出た。
「さっきのは、妖怪を使役して良いように利用しようとする奴らだ。
…全く、嘆かわしい。」
「…ぅえっと、あなたは…?」
「ああ、説明してなかったか。我は、この森の主をしている妖怪だ。」
そうだったのか。…確かに、威厳に溢れている。
彼(妖怪に性別は無い)から発せられるオーラはもう穏やかだが。
「…ふむ、やはりか。」
何がだ?
「何が…って顔をしているな。我を前にして恐れないということは、つまりそういうことであろう。」
そういうことってどういうこと。
彼はもしかしなくても、大妖怪なのだろう。
恐れないのはおかしいのかもしれない。
「お主は、我の発するオーラから生まれた、とても稀有な存在なのだろう。恐らくは。」
言われた瞬間、何故だかしっくりきた。
「…よし、決めたぞ。お主に名前を付けよう。」
「名前?」
「ああ。我らの名前には、力があるんだ。だから名付けにはかなりの力を必要とするんだが…。まぁ、我なら問題ないだろう。それに、自分の子に名前を付けるのは当たり前だろう?」
そういうなり、彼は悩み始めた。
何故だか置いてけぼりを食らっている気がする。
よし、決めたぞ。と声が聞こえたのはそれから5分後の事である。
「お主の名は、夕闇だ。」
彼がそう言った瞬間、自分を中心に光が
発生した。
「っ!?」
「驚いたか?名付けが成功すると、人型以外はこうなる。」
満足そうに彼が言う。
力が漲るような感覚と共に、脳内にアナウンスが響き渡る。
『名付けを確認…受理しました。
親の種族を確認…
バランスを確認…
神の祝福の選別…完了しました。
受け渡しをします。』
今の声…あの管理人か?
『スキル【闇属性】【隠密】、称号【大妖怪の子】を取得しました。』
何か手に入れたな。名前が力を持つってこういうことか。
ステータス
名前:夕闇
種族:猫又(妖怪)
スキル:【異世界言語理解】
【幻術】
【威圧】
【隠密】
【時空属性】
【火属性】
【闇属性】
称号:【天才】
【記憶王】
【大妖怪の子】
【大妖怪の子】
大妖怪の発する妖力から生まれた、とても稀有な存在である証。ある程度の威圧に屈しなくなる。
うむ、これまた良さげな称号。
「…よし、こんなものか。夕闇よ、お主は生まれたばかりだ。我が直々に物事を教えてやろう。」
「物事?」
「ああ。戦い方もそうだが、常識なんて知らないだろう。」
そっか、確かに分からないな。
教えてもらうのがいいだろう。
「…よろしくお願いします。」
「はは、そんなに堅くなるな。」
では早速、始めるとしようではないか。
そんな掛け声と共に、その場で妖怪講義が始まったのであった。
早速人が死んでるけど、新人だから許してください。