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『白ウサギはアリスの再来に恐怖する』(その後)

「白ウサギ、隠れてないで出ておいで」


 アリスの甘い、甘い声が城内に響く。

 しかし白ウサギにとっては、それは毒の甘さ。

 粘着質でべたべたでドロッドロで、こびりついてなかなかおちないやっかいなもの。



 スカートの中で膨らむ尻尾を気合で元に戻し、壁に背をくっつけてそろりそろりと。



 ぱきっ



「……え?」


 足元を見るが、何もない。――いや、白いはずの床にはハートやダイヤやクローバーの模様が。

 それらが、浮かび上がってきて白ウサギをあっと言う間に包み込み出来たのは、トランプで出来た大きな檻。


「いったい、何!!」


 両手でバンバン叩いても、ビクともしない。


「何って? なあに?」


 甘い声が上から降ってきて、ボムッと尻尾が膨らんだ。

 さっき気合で小さくしたのに、根性のないしっぽに腹が立つ。


 おそるおそる見上げると、キラキラな金色の髪の上に大きな冠を被ったアリスの姿。


「鬼ごっこは、おしまいだよ」

「……ふぁあ」


 片手で、ひょいっと持ち上げられいつものお姫様だっこ。

 そのままてっきり、いつもの寝室に連れて行かれると思ったのに、一向に動き出そうとしないアリスに白ウサギの心臓はバクバクと煩い。



「…………ねぇ、たまには趣向を変える?」


 そして、またトランプの檻の中に戻され、一緒にアリスも降りてきた。


「え? え?」

「こういうのも燃えるかも」


 そして、そのまま押し倒される。

 見開いた目が見た物は、トランプ達の無数の瞳。



「!!!! ひゃぁあああ!!」


 音にならない声が、口からでてシッポはもとより耳までもがボッと膨らんだとさ。


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