半月がたった。
クーちゃんが生まれてから半月がたった。
あれから卵の殻以外にも色々な物を上げてみたら、何でも食べた。
母は、好き嫌いがなくていいわねー、とこっちを見て言う。…嫌いな物が食べれないのは仕方ないのに。
とにかく、虫を捕まえなくて済んで良かった。
羽はパタパタ動かすけれど、飛んではいない。
(でもそのうち飛ぶのかなぁ)
その前にちゃんと躾をしたいけど、赤ちゃんだから寝てばかりだ。
最近はよく、早く大きくなーれ、と声をかけている。
「クゥ」
クーちゃんが起きたので、餌を用意する。
鳥肉の塊を上げたら囓りついた。
何でも食べるので餌やりは楽だ。硬い物も難なく食べるので、細かくする必要もない。
食べたら排泄を済ませて、また眠る。
丸くなって寝ている姿は可愛いけど、手が掛からな過ぎてつまらない。
「クーちゃん、早く大きくなってねー」
そしたら何して遊ぼうかな。ボールを投げたら咥えてくるだろうか。
トカゲの飼い方なんてみんな知らないって言うし、育ってみないと分からない。
クーちゃんのお腹を撫でると、柔らかくて気持ちいい。ぽっこり膨れているところが可愛いらしい。
「早く大きくなーれ」
呪文のように唱える。
大人になったらどの位の大きさになるのかな、遊ぶのが楽しみだなぁと想像して笑った。