帰りたくなった。
翌日は、予定通りに店開きをした。
魔獣が出たと言っても、村の中は至って平穏だ。
きっとハンターが倒してくれると、信頼しているのだ。
父たちも、魔獣が出ることはたまにあるから、問題ないと言う。なので、私もあまり心配していない。
アルディクが怖がりなのは、ゼアルダが、魔獣の多い土地だからのようだ。母親から、色々と怖い話を聞かされて育ったらしい。
だから、いくら大丈夫と言っても安心できないようだった。
この村でも、私たちは人に囲まれていたので、アルディクの気を紛らわせるのには役立った。
少年たちは、相変わらず“恋人がいるのか”聞きたがったし、少女たちは、マゼンタの街の話を聞きたがった。
彼等の相手をするのは、とても疲れるが仕方がない。魔獣が仕留められるまでは、この村から出られないのだから。
(次はカーチス村なのに…)
もうすぐ帰れる距離だと思うと、すぐに帰りたくなってくる。
(アルはラディと仲良くなれるかな)
私は駄目だったけど、男の子同士なら、仲良くなれるかもしれない。
ラディも実は、友達がいなくて寂しかったかもしれない。アルディクが来たら喜ぶかも。
二人が仲良くしている姿はあまり想像できないけど、仲良くなれればいいなと思った。




