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曖昧な結論になった。
後から現われた男は、ゼリスと名乗った。
ゼリスはグラドから、クーちゃんが竜ではないかという話を聞くと、どうでもよさそうに言った。
「どっちでもいいじゃないか」
「良くない」
「竜にしろトカゲにしろ、あんなに小さくちゃ問題ないだろ?」
「……」
ゼリスの言葉に、グラドが詰まった。
「では、もう行っていいでしょうか?」
父が言うと、グラドは不満そうだったが、ゼリスはいいと言った。
それでようやく、馬車を進めることができた。
二人の姿が遠去かっていくのを、荷台から眺めていた。
グラドが何か言ってるのを、ゼリスが宥めているようだった。
「ねえ、ホントは竜なんじゃないかな?」
アルディクがそう言って、クーちゃんを見る。
「…竜だったら、イヤ?」
私が訊くと、首を振った。
「じゃあ、どっちでもいいよね」
「…そうだね」
曖昧な結論になったけど、竜でもトカゲでも、クーちゃんが可愛いことに変わりはない。
(でも竜みたいに、大きくなったらどうしよう…)
今心配なのは、そのことだけだった。




