巡回士に会った。
森に入り、しばらくして海が見えなくなると、クーちゃんを空に放った。昼食用の狩りを頼んだのだ。
クーちゃんは、ヒル鳥とホロ鳥を一羽ずつ捕ってきた。それからまた飛び立って、すぐに戻ってきた。
「クルル」
「クーちゃん!また熊がいたの!?」
熊、の言葉に父が慌てて馬車を止め、ガハトさんが辺りを警戒する。
「クルル」
クーちゃんが違うと言ってるような気がする。
「熊じゃないの?」
「クル」
「危険なもの?」
「クルル」
「危険じゃない?」
「クル」
どうやら危険はないらしい。
父たちにそう言うと、脅かすな、とホッとしたように言われた。
「他に何かいたのかな?」
アルディクが言うので、クーちゃんに訊いてみようとしたら、その人が現われた。
背の高くて若い男の人だった。鋭い目をしていて、すごく格好いい。
「誰だ!?」
ガハトさんが問い掛けると、男は、巡回士だと答えた。
巡回士は、各地を廻って旅をしている騎士で、魔獣や危険な動物を見つけては、ハンターギルドに報せたり、近くの村に通達するのが仕事だ。
「ああ、巡回士の方ですか。ご苦労様です」
騎章を見ながら、父が言った。
ガハトさんも、ご苦労様です、と言いながら、相手を観察している。
私も、なんで一人でいるんだろう、と思いながら彼を見ていた。




