ソルディ村に着いた。
日が暮れる頃、ソルディ村に到着した。
ここでも歓迎され、村長さんの家に泊めてもらった。
村長さんの娘のアレイアが、私に兄のことばかり聞いてきた。どうも兄のことが好きらしい。
兄が父とは別の所に旅するようになって、とても残念がっていた。
アレイアには、兄に恋人がいるのか、とか、兄の好みの女の子のこととか、とにかく兄のことばかり訊かれた。私の知らないことばかり訊くので、返答に困った。
夕食の後、部屋に案内されると、今度はアルディクが兄のことを聞きたがった。
アルディクには兄弟がいないそうで、どんな感じなのか訊いてきたけど、どう答えればいいのか分からなかった。
私にとって、兄弟がいるのが当たり前のことで、兄という存在が特別なものだとは思えなかったのだ。
(そういえば、ラディも、兄弟はいないって言ってたな)
だからあんなに、兄に懐いているのかもしれない。
(アルディクも、ディーに会ったら懐くのかな)
だったらヤダな、と思った。せっかく仲良くなったのに、兄に取られてしまうような気がして寂しくなった。
「アルディクは、お兄さんが欲しい?」
私が訊くと、うん、とうなずいた。でも、その後に、私を見て言った。
「でも、ティンがいるから、いい」
そう言って、照れた顔が可愛いかった。




