マゼンタを出発した。
翌日。
父に起こされて、目が覚めた。…なかなか早起きができない。
朝食の後、旅支度をして商会に行くと、次の護衛の人が待っていた。
ガハトさんという名前で、父とよく仕事をしている人だ。
ガハトさんにアルディクを紹介してから、旅に出発した。
街を出る時は、簡単に通された。
門の外には、相変わらず行列ができていた。
街から遠ざかると、行き交う人も徐々に減っていく。
人通りがなくなってから、クーちゃんを空へと放った。
アルディクは、クーちゃんを羨ましそうに見ていた。
「飛んでみたいの?」
「うん。クーちゃんが竜だったら、乗せてもらえたのに、と思って」
アルディクは残念そうに言うが、クーちゃんが竜だったら、大き過ぎて一緒に旅ができないと思った。
「私は、今の大きさのままでいいと思う」
「飛んでみたくないの?」
「…そんなに飛びたいなら、クーちゃんに銜えてもらって、飛ぶ?」
クーちゃんなら、もしかするとアルディクを銜えても、飛べるかもしれない。
「やだよ!首が絞まる!」
アルディクが嫌そうに言った。耳が垂れている。
そうして、次の村までの道のりは、穏やかに過ぎていった。




