グラマド村に着いた。
草原の中でも、クーちゃんはウサギを狩ってきた。
「クーがいると、肉には困らないな」
スーシェさんが言うと、父もうなずいた。
「そうだな。トカゲがこんなに役に立つとは思わなかった」
アルディクも、クーちゃんはスゴいと褒めた。皆に褒められて、クーちゃんも嬉しそうに見えた。
その日は、木の下で野営をすることになった。
火を焚いて、野生動物を警戒しながら食事をする。
森の見えない草原の中は、なんとなく落ち着かなかった。
クーちゃんは、自由に飛び回らせていた。
何でも食べるから、餌には事欠かないだろうに、時々近くに来ては、私たちが食べている物を欲しがっている。
少し与えると満足して飛びたっていく。…構ってほしいだけなのかもしれない。
夜が更けて、眠りについてもなんとなく落ち着かなかった。
遠くで狼の遠吠えが聞こえてビクリとして起きると、スーシェさんに、大丈夫だから寝ろと言われた。
けれどなかなか寝付かれず、ようやく眠ったと思ったらすぐに朝になって起こされた。
ウトウトしながら馬車に揺られ、夕方になってグラマド村に着いた時はホッとした。
森から離れることで、こんなに不安になるとは思わなかった。




