子供に出会った。
翌朝、父に起こされて目を覚ますと、すでに朝食の用意ができていた。
慌てて起きると、慌てなくていいと言われた。明日は、ちゃんと早起きしようと決意した。
クーちゃんも起きていたので、餌を自分で捕るように放すと、川のほうに飛んで行った。魚を捕って食べるようだ。
朝食の後、すぐに出発した。今日も野宿をするから、ちょうどいい所まで行かなくてはいけないそうだ。
街道に出て、しばらく道なりに進んでいると、前方に小さな人影が見えた。
子供のようだった。フラフラと歩いている。
「なんでこんな所に子供が…」
父が呟いた。まだ村までは遠いのに、子供が一人で歩いているなんておかしいと言う。
「おい、こんな所でどうしたんだ」
スーシェさんが馬で近付いて話しかけると、その子供は、ビクリとして立ち止まった。そして、勢いよく振り返る。
「人だ…」
子供が、かすれた声で言った。少年のようだった。
子供はその場にへたりこんでしまった。慌てて馬を降りて、スーシェさんが話しかける。
「おい、大丈夫か」
「大丈夫…」
そう言いながら、ぐるるる〜と、お腹の鳴る音がした。
「…腹減ってんのか」
父が、荷物の中から食べ物を取り出した。それをスーシェさんが受け取って、子供に渡すと目を輝かせた。
「いいの!?」
スーシェさんがうなずくと、物凄い勢いで食べ始めた。よほどお腹が空いているらしい。
夢中で食べている少年を眺めていると、あることに気がついた。
(あの子…獣人?)
ボサボサの髪の間から、わずかに獣の耳が飛び出ているのが見えた。




