店開きをした。
翌日。
朝食をご馳走になってから、広場に馬車を移動させて商品を並べた。
たくさんの人が集まって来て、父とスーシェさんに話しかけながら、次々と物を買っていく。…ほとんどが物々交換だけど、なかには硬貨で買う人もいる。
この村で作られた色々な品物と交換に、商品が次々と手渡されていく。
何を手伝ったらいいのか分からずに、その様子を眺めていると、ふと誰かの視線を感じた。
周りを見ると、私と同じくらいの年齢の少年たちが、こっちを見て何かコソコソ言っている。
(…何だろう。何か私、変なのかな?)
しばらくすると、そのうちの一人が話しかけてきた。
「ねえ、君、女の子だよね?」
「そうだよ」
よく分かったな、と思いながら答えた。
「やっぱり!」
嬉しそうに、他の男の子たちと顔を見合わせて笑う。
…男か女か分からないから、見ていたのだろうか。それとも、エルフが珍しいのか。
「ねぇ君、エルフだよね?」
他の男の子が言った。やっぱりエルフが珍しいらしい。
「年は幾つ?」
「名前は?」
「恋人いる?」
少年たちが口々に質問を始めた。…また質問攻めだ。この村の人は、そんなに他人のことが知りたいのか。
男の子たちに囲まれている私の様子を、近くでスーシェさんが、面白そうに眺めていた。




