カタル村に着いた。
道中は、何事もなく過ぎていった。
結界の外に出ても、危険な動物に遭うこともなく、いつもの森とあまり変わらなかった。
初めて馬車に乗って、最初は嬉しかったけど、段々お尻が痛くなってきた。
仕方なく結界を張って凌いだ。慣れれば大丈夫だと父は言うけど、それまではクッションが欲しかった。
クーちゃんは、森を飛び回って、自分で餌を取って食べていた。
クーちゃんは飛べていいなぁと、羨ましくなった。
森を抜けて、ようやくカタル村に着いた。
私たちの村と同じくらいの小さな村だ。
村の人たちが歓迎してくれた。
店開きは明日にして、今夜は村長さんの所に泊めてもらうことになった。
トカゲが嫌いな人がいるかもしれないから、クーちゃんを見られないように気をつけた。
振る舞われた料理は美味しかったけど、初めて会う人たちに色々質問されて、旅の疲れもあって、もうクタクタだった。
私だけ先に休ませてもらえることになった。父たちと離れるのは不安だったけど、部屋に案内されると、やっと一人になれてホッとした。
クーちゃんの入った籠は枕元に置いた。
「おやすみ、クーちゃん」
「クルル」
寝る前に、魔法具で結界を張った。
目を閉じると、あっという間に眠りについた。
こうして、旅の一日目は過ぎていった。




