16歳になった。
新年になって、やっと16歳になった。
クーちゃんは、自由に飛び回れるようになっていた。言うことをよく聞いて、呼べば戻ってくる。
狩りもできるようになった。小さな羽で、自分より大きな獲物を銜えて飛んで来るのは、いつ見ても不思議だと思う。
村全体で、私とラディの成人のお祝いをしてくれた。
ラディは13歳で成人だけど、この村では16歳が成人だから二人ともお祝いしてくれるのだ。
皆が集まって、持ち寄ったご馳走を食べた。
それから、大人としての心構えなどを聞かされた。
それから、村の外の危険も嫌というほど聞かされた。
私が旅に出るのは知っているから、皆が心配してくれる。
「ティンは可愛いから、外では男の振りをしていたほうがいいよ」
近所のサジェリアさんが言うと、隣りにいたボーデンさんが、言った。
「ティンはそのままで、男の子に見えるから大丈夫だよ」
「髪が短いからよ。伸ばせばもっと可愛くなるのに」
「それに、女の子の服を着たらもっといい」
「そうだなぁ。ティンの女の子らしい姿も見てみたいなぁ」
皆で色々なことを言う。
家では父だけが女の子らしくしてほしそうにしているけど、母や兄はそのままでもいいと言う。
ラディはどう思っているのか分からないけど、たぶん私のことには興味がないと思う。
たくさんのご馳走を食べ、初めてお酒を飲んだ。お酒はあんまり美味しくなかったけど、フワフワする感じが気持ちいい。
すぐに眠くなってしまったので、母に連れられて、ラディと一緒に途中で帰った。
せっかくお祝いしてくれたのに残念だと思いながら、幸せな気分で眠りについた。




