兄が帰ってきた。
それから更に一月半がたって――
たくさんのお土産と一緒に、ようやく兄が帰ってきた。
こんなに長く出かけていたことがなかったので、母はずっと心配していた。
父の言っていた予定通りだったから、私はさほど心配していなかったけど、無事な姿を見るとやっぱり安心する。
兄は、初めて行った隣国のことを楽しそうに話し、そこで買った、変わった織物や服をくれた。 織物は母に渡した。服は動きやすい男物だったので、有難く貰った。
ラディも同じような服を貰っている。
「ティンはやっぱり、そういう服のが好きか」
「いつまでも男の子みたいだと、モテないわよ」
母と兄が笑う。ラディは無言だ。貰った服を嬉しそうに見ている。
「ルーシェンさんたちは、村長さんの所?」
「うん。家族の中に入ったら悪いって、気を使ってくれたんだ」
「気にしなくて良かったのに」
兄は、ルーシェンさんたちの活躍を面白おかしく話してくれた。父の言う通り、二人はとても強いらしい。
兄の話を聞くうちに、ますます旅への憧れが募っていった。
(う〜早く旅に出たい〜でも、あともう少しの我慢)
久しぶりに賑やかな夜は、こうして過ぎていった。




