15歳になった。
それから半年が過ぎ、15歳になった。
父は二月に一度くらい帰ってくるけど、兄は三月前に会ったきり、一度も帰って来ていない。今度は少し遠くに行っているようだ。
母は心配しているが、父は危ない所ではないから大丈夫だと言っていた。
それに、護衛の二人は旅慣れているし、とても強いのだそうだ。だから、心配はしていない。
ある日、クーちゃんが飛んだ。すぐに落ちてしまったけど、ちゃんと飛べたのだ。
(こんなに小さな羽で、よくこの身体が浮いたなぁ)
クーちゃんの丸い身体を見て思う。手のひらに乗るくらいの大きさだけど、それなりに重さはある。
(魔力で飛んだのかな?)
魔力があるなら、魔法が使えるかもしれない。
「クーちゃん、魔法が使える?」
「クルゥ」
クーちゃんの返事では、使えるのか使えないのか分からない。
「クーちゃん、魔法って分かる?」
「クルル」
分からないと言っているような気がする。
「とりあえず、飛ぶ練習しようか」
「クルル」
まずはちゃんと飛べるようになることだ。
「明日から頑張ろうね」
「クルル」
旅に出るまでに間に合わせなきゃと思いながら、どうやって特訓したらいいのか考えるのだった。




