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化石だった。
母と夕食の支度をしている時、卵を割ろうとしたら割れなかった。
「お母さん、卵割れないよー」
「貸して」
母も割ろうとしたが、割れなかった。
「これは化石かもしれないわね」
「化石?」
「昔の卵が石になっちゃったのよ」
「じゃあコレ食べられないの?」
卵を受け取って眺める。ただの石だなんて残念だ。
「仕方ないわ。今日は卵は無しね」
母が苦笑する。楽しみにしてたのにガッカリだ。
卵無しの夕食が終わって、部屋で卵の石を眺める。白くて大きい卵。なのに食べれない。
(まぁいいや)
卵は小物の入った籠の中に入れて、そのまま忘れてしまった。