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お祝いした。
父たちが帰って来た。
ラディの成人祝いもあるので、いつもよりお土産が多い。
お祝いは家族だけでやった。この村では、16歳にならないと大人と認められないので、三年後に村全体でお祝いをすることになっているからだ。
「ラディ、おめでとう」
「ティンも、13歳おめでとう」
ラディのついでに祝ってもらった。同い年なのに、ラディのほうが先に大人になるのは羨ましい。
「私も半分は人間なんだし、13歳で成人じゃないの?」
すると母が反対する。
「だめよ。エルフは16歳で大人と決まってるんだから。半分でも、ティンは16までは大人じゃないの」
「でも、旅に出るのは16まで待たなくていいでしょ?」
「駄目。ディーも16歳になってからだったでしょ」
「う〜〜」
早く旅に出たいのに。兄がもっと早く旅に出ていれば。
「ティンはまだまだ子供だから駄目だよ」
兄までそんなことを言う。
「…ラディだって子供じゃない」
「あら。ラディはもう一人前の薬師よ」
そう言われると何も言い返せない。
自分には一人前だと言えるものがない。せめてもう少し魔法の素質があれば良かったのに。