表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/67

薬草採りに行った。

「今日はラディを連れて行ってあげて」


 母に言われて、ラディと薬草採りに行くことになった。二人だけなのは気まずいけど、色々教えなきゃならないのだから仕方がない。


 まず教えるのは、どこまで森に入っていいのかだ。

 森には結界が張ってある。その中なら危険なものは入って来ない。

 結界の外に出てしまうと危険な動物がいるから、ちゃんと教えておかないと大変なことになる。


「結界のことは聞いた?」

 ラディがうなずく。

「じゃあ、この柵の外には絶対に出ないでね」

 またうなずいた。

 同い年なのに、年下の子を相手にしているような気分だ。

 村の中には子供が少なく、年の近い子は他にいない。父は、遊び相手にもちょうどいいと思って連れてきたのかもしれない。

(でもなんだか苦手)

 表情もあまり変わらないし、どう思っているのか分からない。


「ほんとに薬師になりたいの?」

 コクンとうなずく。

「他になりたいものはなかったの?」

 すると今度はうなずかなかった。

「なりたいものがあったの?」

「…わからない」

 小さな声で応える。

 うつむいてるラディを見ていると、質問ばかりするのは可哀想な気がしてきた。

「…薬草、探そっか」

 またコクンとうなずいた。


 今度は、薬草のたくさん採れる所に連れて行った。

 種類別に探す場所が違うので、少しずつ採って教えながら、あちこち回った。

 お腹が空いたら、持ってきたパンと森の木の実で昼食にした。

 食べながら、母に任せてきたクーちゃんのことを思った。

(今度からクーちゃんも連れてこようかなあ…)

 でも、ラディはクーちゃんのこと嫌いだからなぁと、黙々と食べている横顔を眺めた。


 森で採れる薬草や木の実などを教え終わると、もう日が暮れかかっていた。

 足早に家に帰ると、母が夕食を作りながら待っていた。慌てて手伝いながら、クーちゃんの様子を訊く。



夕食の後に部屋に戻ると、クーちゃんが嬉しそうにクルルと鳴いて、羽をパタパタさせて出迎えてくれた。

「クーちゃん、ただいま〜」

「クルル」

 木の実を上げながら、クーちゃんはホント可愛いなぁと、食べる姿を眺めて思った。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ