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仲良くなれなかった。
ラディは無口で大人しい子だった。
父たちがいる間は兄にベッタリだったけど、二人が旅に出てしまうと、母の仕事を手伝い始めた。
言い付けをよく聞くので、見習いとしては申し分ないようだった。
兄は仲良くなれると言っていたけど、ほとんどしゃべらない相手と、どう仲良くしたらいいのか分からない。
クーちゃんを見せたら、嫌そうにしていた。トカゲが嫌いなようだ。
嫌いなものは仕方ないけど、なんだか不愉快だ。
(こんなに可愛いのに)
クーちゃんが指に頭を擦りつけてくる。撫でると嬉しそうに目を細めてクルルと鳴く。
クーちゃんに木の実を食べさせながら、ラディとどうやって付き合っていったらいいのか考える。
(まぁ、そんなに考えることでもないか)
いつかは旅に出るのだし、なるべく早く、父たちと行けるように頑張ればいい。
ラディのおかげで母の心配をしなくて済むし、手伝いをする時間も減った。余った時間で、クーちゃんを一緒に連れて行けるように躾をすればいい。