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rose or gray  作者: いよしみ
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第二話 怪我の功名ってこういう時に使うんだっけ

朝のマラソンは気持ちがいい。というわけで、俺も毎朝マラソンをしている。……否、しなければならない。なぜなら毎朝走らなければ学校に遅刻してしまうからだ。だったら、もっと早く起きて歩いていけって?馬鹿言っちゃいけない。朝の二度寝がどれほど気持ち良いかわかるだろう、あれは至福の時だね本当に。だから今日も俺は走っている、遅刻をしないために……。


学校に着いたのは、大体予鈴の数分前だ。まったくもって、無駄がないね、さすがは俺。さあ、今日も元気にいきましょう!

校門をくぐると、朝っぱらから元気に挨拶をしている生徒会諸君、もしかしたらこれから迷惑をかけるかもしれないので、今のうちに気持ちよく挨拶をしておこう。

「毎朝、御苦労様。本当大変だね」

「はい、ありがとうございます」

割と顔立ちがまとまっている女子と背丈の小さな男子が返事を返した。一ヵ月後には今のやり取りができるかな、まあその時はその時でどうにかなるだろう。挨拶を返されたので、気分良く教室に入ると、早速、拓也と目があった。

拓也は史登のズボンから中途半端に飛び出したワイシャツを指さして注意をした。ちなみに、史登の学校は男子はブレザーで学年ごとに、ネクタイと上履きのラインの色が変わる。史登は1年生なので赤、そして2年生は緑、3年生は青、という具合だ。

「史登、お前、服装が乱れすぎ」

「拓也にはわからないのか、流行の最先端を行く俺のファッションが」

「地球の温暖化は、お前の頭の中までおかしくしていたとはな」

拓也は両手を広げて、首を振りながら俺に向かって言った。まあ、これが日常会話なんだけどね。

俺も言い返す。

「うるさいよ、陸上馬鹿」

「ただの馬鹿に言われるとは心外だな」

ただの馬鹿だと、勉強で恵に勝ったことないくせに。俺は拓也にすらないけど……しかし、こんなことで黙ってる俺じゃねえ。それに怒りのボルテージはどんどん上がっていくぞ。

「ムキー、もう怒ったぞ。拓也、表に出ろ、その腐った根性叩き直してやる」

「臨むところだ。その腐った脳みそ叩き割ってやる」

え!ちょ、えぇぇ!

「拓也さん、脅し文句間違ってませんか?」

「日本語も解らないとは、やはり腐っていたか」

カッチーン、もう止めても無駄だ、怒りのボルテージはMAXになっちゃたもんねぇ。

「やっぱり、表にでろやぁ」

「はははっ、いいだろう返り討ちにしてやる」

「あ、あの、少しいいですか」

そんな、傍から見ていると危なげな会話に割って入ってくる少女が一人。

振り向くと、 そこにはアイドルにも勝るとも劣らないほどの美少女がいた。ん、このフレーズ、最近使ったような?これぞまさに既視感(デジャブ)ってやつか。それに、少女は顔を赤くしてうつむいている。こっ、これは告白か、それにしてもこの子は可愛いな、こんな子に告白されるなんて、俺はなんて幸せ者なんだ。っておいおい、このまま行くと、恵に告白ルートだぞ。やばい、非常にやばいぞ。

「あの……」

「ちょ、ちょっと待って、ま、まず落ち、落ち着こう。そ、そして、考え直そうよ」

「お兄ちゃんが落ち着きなよ」

「うおっ、恵。いつからそこにいた。お前がここにいると、この子にとって悪いから、消えていろ」

恵は鞄の中から、文庫本を取り出して、史登の頭に振り下ろした。

痛い、薄くても以外に痛い。ついつい、涙目になってしまう、かわいそうな俺。そんな俺の襟元を掴んで強引にたたせる恵、こいつは悪魔か

「どうして、そうなるのかなぁ?恵がこの子に何をしようとしてるのか教えてほしいな」

「それは……置いといてだな」

やばい、脳をフル回転さして、言い訳を考えろ

そんな俺に追い討ちをかけるように、拓也のアホが

「君、なにか史登に話したいことがあるんじゃなかった?」

拓也の馬鹿、言っちゃいけないことがわからねえのか。

なんか、その子も忘れかけてたのによ。


「あの……」

終わった、



「昨日はすみませんでした」



へ、昨日…



「あぁ、なんだ。自転車の君か」

恵に対する告白じゃなかったんだ

「はい、昨日は本当にすみませんでした。急いでいて、前が見えなくて」

少女は本当に申し訳なさそうに、頭を下げた

「そんぐらい、別にいいよ。俺の名前は高島史登、好きなように呼んでくれ、それで君の名前は?」

あの程度のダメージなら恵のパンチのが痛いし。

「私ですか?私の名前は、斉藤若菜(さいとうわかな)ですけど」

「斉藤若菜ね、よろしくな、若菜」

「はい、こちらこそ」

顔を赤くして返事をする若菜、名前で呼んだけど、拒否られなくてよかった。

この子はいい子ですよ、お母さん。

「恵も紹介してよ」

「俺もしろよ、史登」

「わかったよ、すればいいんだろ、すれば」

四人で談笑してると、周りの男子の視線がなぜか怖かった。



その後、なんか怖い人たちから熱い気持ちがつづられた手紙が史登の下駄箱に入っていたとかいないとか。

拓也にはその倍の量が入っていたとかいないとか。



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