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もういいよね

作者: 菟々

短いです。

 後七通で未送信メールがフォルダ一杯になってしまう。友達との遣り取りの殆どはアプリだから、別に困る訳じゃない。けど気付いちゃったから、気まずさと恥ずかしさがぐちゃぐちゃに混ざって、多分家族にも見せられない顔になっているはず。

 よく手に馴染んだスマートフォンはもう端の方の色が落ち始めてて、四年も一緒にいた日を書き残してくれてる。そして私のことを笑って見守ってくれてる気がする。でも苦笑いをしてる様にも見える。



――だって仕様がないじゃない!



――えー? ヘタレなだけでしょ?



――うー! ヘタレじゃないし!



 そんな風にスマートフォンにすら弄らてしまってる錯覚。別にヘタレじゃないし、ちょっと恐いだけだから。そう言い聞かせる私、でも結局動けてない私、手の中の思いが重くて両腕筋肉痛な私、友達とのタイムラインを見ても上の空な私、一人緩んだ顔をしてて友達に指摘されて赤面する私、周りからちょっと可笑しな子認定されてる私。全部仕方ないことだから見逃して欲しいかも。


 とうとう残り一通でフォルダが一杯になってしまう。もう当たって砕けちゃおうか。苦しくなる胸の中とぐらぐらと浮かれて揺れる頭の中をどうにかしちゃおうか。

 初めて作った一通目から今までのメールを赤面しながら読み返しす。その時思った一瞬のこととか、その日思った日記みたいのとか、沢山書いてきた。これまでの思いを全部、伝えれるギリギリまで詰めよう。


 そして最後の文を打ち始めた。


 休日は昼間、全時間を消して書いての時間にしてメールができた。送るつもりがあるのは二通だけ。一番下でずっと待っていたのと今書き終わったばかりの。友達の友達経由で教えてもらったアドレスを選んで、午後六時を過ぎた頃に一通目を出す。



『○○君ですか? □□です』



 久しぶりに受信音を聞いた。



『今晩は、かな? ○○です。隣のクラスだよね?』



 二十分過ぎて手の中に降りてきた。ドキドキしてる。そう思ったのは震えてる両手を見たから。深呼吸して、天井を仰いで、窓の外を見て、手元に視線を戻す。悩んで悩んで悩んだ結果作ったメールを選んで送信ボタンを押す。



『好きです。告白したいので時間をくれますか?』

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