第五話(看守)・7
第五話(看守)・7
人間の囚人の牢の前に向かってみると、確かに牢の中は空っぽだった。たとえ魔法が使えても破ることができない、そもそも壁を破ったところで地下だから出られるわけがない牢屋のはずなのに、人間の囚人は影も形も見当たらなかった。
俺は牢に入って検証してみることにした。牢屋番号の書かれた鍵を握りしめて、ここも対魔法障壁の陣が貼られている鉄格子を通過する。鍵さえ握っていれば誰でも鉄格子を通り抜けることは可能なのだ。この魔法を開発したのは黒マントらしい。魔法をはじくように設計された鉄格子をどうやって通過できるようにしたのか、俺にはわからない。おそらく魔法以外の何かを使ったんだろう。例えば悪魔なんかだと魔法を超越した「技術」ってやつを使えるらしいが、もしかしたら黒マントの正体は悪魔なのかもしれない。じゃあどうして動物族や人間族なんかでは扱えない技術を持つ悪魔が、豚族が王を勤めている白に勤務しているのか。そんな疑問が出てくる。じゃあやっぱり黒マントは悪魔ではないんじゃないか、という疑問が湧いてきて、これではキリがないので俺は人間の囚人が消えた牢の中を探し回ってみる。しかしめぼしい証拠品とかは落ちていない。人間の囚人の排泄物が隅に落ちている、ということもなかった。人間が牢に入っていた期間がどれくらいの長さなのか、体内時計が壊れている俺には判断できなかったが、その間報告書を提出したのは1回だけだったので、少なくとも2週間は経っていないことは確かだ。最低2日、最大30日、人間の囚人は1回も牢屋に排泄していない、ということになる。人間はそれだけの時間、排泄を我慢できるものなんだろうか。と思っいろんなて囚人がよく排泄する牢の中の床の隅に手を伸ばしてみた。特に汚れてもおらず、綺麗な石畳のままだ。と思っていたら伸ばした手が石畳を貫通した。反対側の手に握っていた鍵のせいか? 俺は同じところに今度は頭を突っ込んでみた。すると頭も石畳を通過した。




