第四話(女子高生)・10
第四話(女子高生)・10
それから三日間、私は何事もなかったかのように模範的でありちょっと不真面目、という世間一般的に一千万はいるであろう普通の学生としての生活を全うした。不登校でもおっ始めてみようか、と思ったが、三日経った今日は私がお願いした女子生徒たちが約束を忘れないでいてくれれば、彼女たちの彼氏が荒木にわからせを行う予定になっている。私は退院した荒木が病院にとんぼ返りすることを願った。
ところが、どうにもことは計画通りに進まなかった。ある意味喜ばしい誤算ではあるのだが、どうやら荒木は退院した今日になっても、学校に来ていないらしいのだ。噂話によると、怪我はもう官治しているらしい。それなのに学校に来ないということは、生徒から暴力を振るわれたことによって学校が怖くなったりでもしたか。やっと自分が生徒たちに慕われていないことを自覚したのだろうか。だとしたら嬉しい。その上で学校に来て欲しい。女子生徒たちの彼氏たちからの暴力による追い打ちによって、ますます自分がどの程度の存在なのか自覚することができるだろう。そして荒木がおとなしくなってくれればハッピーエンドである。これからの学生生活が華々しく楽しくなるに違いない。
と、私はポジティブに考えていた。人間、ポジティブであることは悪いことではない。人類全員がポジティブになれば世の中はきっとうまく回り始めるだろうし、週刊誌だって人の悪口で金を稼いだりしなくなるだろうし、見ていて気分が悪くなるエロ本だってこの世から消滅するに違いない。みんな満足しているんだから、不満の穴を埋めるような無駄なものはなくなる。世界は楽園になる。いいじゃないか。それでよかったじゃないか。みたいなことを席が隣ってだけであまり仲が良くないクラスメイトに話してみると、「ポジティブと考え無しは違うよ?」と言われた。そして私は考え無しだった。
その日の放課後、私が学校から一歩出たところで、突然立っていられなくなった。肺胞の中に蛆虫でも湧いたのだろうか、と思えるほど呼吸するのが苦しくなり、私の膝は折れて倒れ込んでしまい、私は胸をかきむしった。あれ、これって。と、私は胸をかきむしりながら相方の身に起こったことを思い出していた。




